2009/11/6 土工協・中村満義会長/雇用情勢の先行きに不安感/事業評価基準の早期明示を

【建設工業新聞 11月6日 記事掲載】

日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は5日の定例記者会見で、建設産業の雇用環境について「大いに不安を持っている。協力会社から仕事がないという声を聞く。このまま受注減が続けば、良い方向には進まない」と述べ、先行きに厳しい見方を示した。鳩山新政権が公共事業費を大幅に削減する方針を掲げて予算編成などを進めていることについては、「(政権交代を機に)削ってしかるべきものは削ったほうがいいと思っている」とする一方、意思決定の納得性や透明性を高めるために、判断基準の明確化が重要だとの考えを強調した。

景気後退や公共事業費の削減の影響で、建設業界の受注環境は急速に悪化している。こうした状況について中村会長は、「実感として(環境悪化を)感じている」と述べた。村重芳雄副会長も「現時点で受注環境は厳しく、次年度の予定も立てにくい」とし、大田弘副会長は「量だけでなく、(統計には表れない)質の問題も気になっている。政権交代によって公共事業に限らず民間も先行きが見えにくくなっているのではないか」と指摘した。竹中康一副会長は公共工事の受注について「工事量が減る中で総合評価方式でどれだけ点数を得られるか、しっかりと勉強する必要がある」と述べた。

公共事業を絞り込む鳩山政権への要望について、中村会長は「なぜその仕事をやるのか、やめるのか評価基準が必要だ」と指摘した上で、「拙速は困るが、できるだけ早く基準を明らかにしてほしい」と述べた。さらに「土俵ができてこそ、われわれも意見が言えるようになる」として、早期の基準作りを重ねて求めた。公共事業に対する鳩山政権のスタンスについては、「民主党は個人の生活を守ると言っている。生活基盤を整備してこそ生活の安心が生まれる。政策とわれわれがなすべきことは一致していると思っている」との見方を示した。

工事の減少で受注競争が激化するとの懸念が再び高まっていることについては、「各社が自覚を持って行動する以外ない。あくまで経営判断であり、難しい問題だが、自助努力の旗を降ろすつもりはない」と述べ、適正価格での受注を会員各社に求める取り組みの浸透に期待を示した。

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