2009/11/9 前原誠司国交相に聞く/公共工事縮減、11年度以降も/海外進出や転業支援

【建設工業新聞 11月9日 記事掲載】

前原誠司国土交通相は5日、日刊建設工業新聞など建設専門紙各社のインタビューに応じ、今後の建設行政の展望について語った。この中で前原国交相は、「11年度以降も国内公共工事は縮減する。甘いことを言って(建設業)を延命させるより、腹を決めることが重要だ」と強調。大手や中堅、地方建設業者に対して施工コストの一層の縮減と、海外進出や農林業分野などへの転業の動きを加速するよう求めた。入札契約制度に関しては、工事品質を確保するために導入している総合評価方式の入札について「落札者の決め方が極めてブラックボックス」と指摘。制度見直しに向けて評価過程を再検証するよう担当部局に指示したことを明らかにした。

前原国交相は、「日本は人口減少、少子高齢化、ばく大な財政赤字の三重苦だ」と日本の置かれた現状を指摘。その上で今後の公共投資について、「ばく大な借金の下で新規事業を行っていたら、これから更新時期を迎える橋やトンネル、新幹線、首都高速道路などのメンテナンスができなくなる」と述べ、新規事業よりも維持更新を優先せざるを得ないとの認識を示した。

国交省は先月再提出した10年度予算概算要求で公共事業費を前年度当初比14%減としたが、前原国交相は「(削減は)これで終わりではない。来年度と同様の数値で削減するかは別だが、まだ削減は続く」と11年度以降も公共事業費の削減を続ける考えを明言した。また、「事業額が減っても、各企業が施工コストを引き下げる努力をすればパイは同じだ」との持論も展開した。さらに、持続可能な社会構築に向けて「民主党は社会保障を増やし、公共投資を削減するというマニフェストをつくった」と指摘。「甘いことを言って(建設業)を延命させるより、腹を決めることが重要だ。どの政党が考えても公共工事の削減の動きは同じだろう」と強調した。

前原国交相は、日本の大手ゼネコンの経営の現状について、「海外の大手企業は受注の約6割を他国で稼いでいるのに、日本の大手ゼネコンは2割程度」と指摘。今後は国内建設市場の縮小が避けられない中、大手ゼネコンの生き残りには、海外展開を強化することが不可欠だとの認識を示した。

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