2009/11/12 住宅瑕疵担保保険/転売後も請求権継承/特約創設、中古市場拡大も期待

【建設工業新聞 11月12日 記事掲載】

10月に施行された住宅瑕疵(かし)担保履行法に基づく住宅瑕疵担保責任保険で、住宅の転売に対応した商品の提供が始まった。これまでは最初の購入者しか保険金の請求ができなかったが、10年間の保険期間中であれば、転売で取得した買い主(転得者)に保険金の請求権を引き継ぐことができる「転売特約」が創設された。中古マンション市場の拡大につながるほか、保険金請求権の継承手続きが売り主を経由して行われるため、売り主にとっては転得者を含めた顧客の囲い込みに役立つメリットがあるとみられる。初弾としてハウスプラス住宅保証が国土交通省の許可を取得済みで、そのほかの保険法人も特約を設ける方向だ。

住宅瑕疵担保責任保険では、新築住宅の売り主らが保険契約を結び、売り主が倒産して瑕疵担保責任を果たすことができなくなった場合は、住宅購入者が保険金を請求できるようになっている。しかし、対象となるのは、最初に購入した1次取得者だけで、住宅が転売された場合は保険金の請求権が断絶する仕組みになっていた。このため、新築時に全戸一括で保険に加入しているマンションなどでは、1次取得者と転得者で扱いが異なり、転売物件の資産価値が相対的に低くみられる懸念が指摘されていた。

創設された転売特約では、第1次取得者が住宅を転売する際は売り主らに通知し、通知を受けた売り主が転得者と瑕疵担保特約を結ぶ流れとなる。住宅瑕疵担保保険法人は、売り主からの連絡を踏まえて転得者に保険証書を発行。転得者がさらに転売したケースでも、最終的な購入者に保険の請求権が移転する。特約に伴う料金は無く、既に保険に加入している物件であれば、後から転売特約を追加することも認められる。

転売時に保険が継承される仕組みが設けられることで、中古物件の購入希望者は、より安心して転売物件を取得でき、マンションの既購入者にとっては転売がしやすくなるため、マンション販売の差別化にも影響しそうだ。一方、瑕疵保証履行措置として保険ではなく保証金の供託を利用した物件では、法制度上、転売時に請求権は継承できない。

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