2009/11/13 ゼネコン大手4社4~9月期決算/受注高3~5割減/「量より質」重視鮮明に

【建設工業新聞 11月13日 記事掲載】

上場ゼネコン大手4社の09年4~9月期の決算が12日発表された。単体の受注高は、前年同期に比べて3~5割以上の大幅減となった。昨年来の景気低迷を受け、民間企業の設備投資は依然として低調で、この影響を受けて各社ともに民間建築受注の落ち込み幅が大きく膨らんだ。官公庁工事の受注についても全体として減少傾向にあり、各社の受注環境は一段と厳しさを増している。通期では清水建設、鹿島、大成建設の3社が前期比で2けたの受注減を予想。大林組も8月に公表した予想値を下方修正した。当面の建設需要動向に改善の兆しが見えない中、「受注目標が未達になっても採算性を確保する」(鹿島)など、各社とも量より質を重視する姿勢を強めている。

4~9月期決算によると、売上高が4社とも減少する一方、工事利益率の改善や販管費の削減などが進み、損益は改善する社も目立った。受注高は、各社ともに苦戦し、前期実績はもちろん、期初予想をも下回った。国内建築受注は、官公庁関連で大成を除く3社が前年同期比を上回ったものの、民間受注は軒並み2けたの大幅減になった。国内土木受注は民間分野で清水が前年同期をわずかに上回った以外は、官公庁含めて4社ともに減少した。

海外の単体受注高をみると、鹿島と大成が過去に受注した手持ち工事の為替変動などによる影響でマイナス計上を余儀なくされた。各社ともに得意地域などで継続的に工事を受注しているものの、厳しい収益環境下でリスクを極力回避するため、海外工事の受注量を抑制する傾向を強めている。鹿島は「数年前に海外の受注量が急増し、現在は受注活動よりも手持ち工事の消化に注力している」(山内秀幸執行役員経営企画部長)としている。

通期の単体受注高については、各社ともに1兆円台前半という厳しい予想を立てている。受注・売上高の減少が続き、従来の事業規模を確保することが難しい局面を迎える中、受注戦略での各社の次の一手に注目が集まる。

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