2009/11/16 主要ゼネコン09年4~9月期決算/軒並み受注減、損益は改善傾向

【建設工業新聞 11月16日 記事掲載】

主要ゼネコン各社の09年4~9月期連結決算が13日、出そろった。民間工事、官公庁工事とも低調に推移し、集計した30社のうち25社は単体の受注高が前年同期を下回った。減少幅は6~52%で、25社の9割以上は減少幅が2けたになった。一方、損益は、各社が景気後退による収益の悪化を見込み、コスト削減や生産の効率化を進めたのに加え、資材価格が安値安定で推移したこともあって改善傾向にあり、完成工事総利益率(連結ベース)が悪化したのは9社にとどまった。通期の業績は、景気の先行きが不安定な中、新政権の方針で政府建設投資の削減が確実となったことで、厳しい予想が目立っている。

4~9月期は、景気悪化の影響で民間設備投資が一段と減少し、新設住宅着工戸数も過去最低を更新、官公庁の工事発注も低迷したことで、受注高を減らす社が多かった。国内では、製造業からの受注が7割以上減った社もある。注力していたマンションも受注が軒並み減少し、国内受注は「これ以上悪くなることはない」(準大手)との声が漏れるほど、厳しいものとなった。

一方、損益面では、受注前の採算分析を徹底し、さらに生産システムの改善や生産の内製化、提案の効率化も実を結んだことから、利益率はおおむね上昇。建築の粗利益率については、「この状況下ではいい線をいった」(同)と評価する社もあった。前期まで利益の圧迫要因となっていた資材価格の高騰については、H形鋼や棒鋼といった主要建設資材の価格が「(高騰前の)07年末ころの価格に落ち着いた」(大手)と、多くの会計担当者が胸をなで下ろした。

受注高が1~3月期に偏る業界特有の事情はあるものの、今後は工事の減少で競争のさらなる激化が避けられない見通し。国土交通省はゼネコンの海外進出を支援する方針を打ち出しているが、ゼネコン側からは「税制だけの支援では話にならない」(大手)との声も出ており、生き残りには、国内で収益力をどこまで高められるかが問われる。過去に受注した低価格工事の影響が一掃されていない社もあり、今後、工事量が確実に減るだけに、組織維持を目的とした採算度外視の競争が再燃する可能性もある。 

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る