2009/11/18 前原誠司国交相/公共事業削減幅の抑制を示唆/11年度以降、地域経済に配慮

【建設工業新聞 11月18日 記事掲載】

前原誠司国土交通相は17日の閣議後の会見で、10年度予算の概算要求で前年度比14%減とした公共事業費について、次年度以降は削減幅を抑える可能性を示唆した。新規の投資は抑制せざるを得ないとしながらも、「一定の公共投資額を維持することは大事だ」との考えも表明。予算削減をさらに加速させると「建設業界や地域経済に影響が出ると思うので、毎年徐々に減らしていく観点は必要だ」と述べた。公共事業削減に関連し、前原国交相が建設業界への配慮を公式に明らかにしたのは初めて。

前原国交相は、「新規投資を相当程度抑えていかないと、日本の財政が持続可能でなくなってしまう」と指摘。政権交代を機に国土交通行政の枠組みを抜本的に転換する姿勢をあらためて鮮明にし、「それが空港整備特別会計の見直しや港湾整備の選択と集中、できるだけダムに頼らない河川整備につながると理解してほしい」と述べた。その上で、「二つの面で一定の公共投資額を維持することは大事だ」との認識を表明。一つは建設業界や地域経済への配慮で、もう一つの側面としては維持管理に重点を置いた公共投資の必要性を挙げた。

建設業界や地域経済への影響に関しては、「(10年度予算の概算要求で公共事業費を)14%減らしているので、相当な減り具合だ」と指摘。「(建設業の)転職支援や転業支援をやるといいながら、急激な変化をさらに加速させると、業界あるいは地域経済に対する影響も出てくるだろうと思うので、減らしていくのであれば一挙に減らすのではなく、毎年徐々に減らす観点は必要だ」と述べた。公共事業の削減を進めるに当たって、建設業界や地域経済への配慮の必要性を指摘したもので、11年度以降の公共事業予算を念頭に置いた発言とみられる。

前原国交相はさらに、新規の公共投資を行うに当たってはPFIを積極的に活用する方針も示した。現行のPFIについては、リース方式のように単なる建設・維持管理費の割賦払いとなり、「結果的に税負担が多くなり、失敗している例がたくさんある」との認識を表明。民間資本を取り入れ、インフラ整備を含めトータルのマネジメントまでを民間に任せた使い勝手のよいPFIへと変えた上で積極活用を図る考えを示した。

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