2009/11/20 前原誠司国交相/ダムに頼らない治水検討へ/有識者会議で河川整備のあり方探る

【建設工業新聞 11月20日 記事掲載】

前原誠司国土交通相は、河川整備のあり方について検討する有識者会議を立ち上げる。人口減少や少子高齢化、財政状況の悪化といった背景を踏まえて今後の河川事業のあり方を探るとともに、新たな整備基準づくりを目指す。前原国交相は「河川法の改正に至るかどうかは分からないが、法改正に匹敵するような河川整備の変更を考えていく」としており、河川工学に詳しい有識者らをメンバーとした検討会を設け、議論を進める考え。既に人選作業が始まっており、詳細については、「12月に明らかにする」としている。

前原国交相は19日の参院国土交通委員会で、自民党の脇雅史氏の質問に対する答弁の中で、「河川整備のあり方の検討会をつくらせていただく」と表明。「メンバーは、納得していただける人選だと思う。今までの河川工学の大家が入っている」と述べた。さらに「制約要因の中で国民の生命や財産を守るための良い施策をどういう基準によってつくることができるか、専門家にお願いして、基準をつくる」と述べ、今後は新たな基準に沿って河川整備に取り組んでいく方針を示した。

前原国交相は「すべての洪水、大雨、台風をダムや堤防で押し込めていくということは、謙虚さに欠ける。すべての被害をゼロにすることはできない」との認識を示すととともに、「できるだけダムに頼らない治水を考える時には、国民の意識改革も行わなければならない」とも語った。前原国交相は、これまでの記者会見などでもダムに頼らない治水対策へと転換する考えを表明。現行河川法では、河川整備基本方針や河川整備計画により、洪水時のピーク流量などを規定しているが、こうした前提についても抜本的に再検証し、新たな基準を設ける方向も示している。

同日の質疑では、脇氏が「八ツ場(ダム本体工事)を止める結論を出したのであれば、利根川の治水計画、利水計画について相当検討したはずだ」とあらためて指摘。「ダムに頼らない治水」について「土木の常識を覆すことになる。どうしてそういう結論になるのか、きちんとした資料を(国会に)出してほしい」と求めた。

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