2009/11/20 直轄負担金廃止へ/国交ら4省の作業チームが初会合/09年内に工程表

【建設工業新聞 11月20日 記事掲載】

国土交通、総務、財務、農林水産の4省は、国の直轄公共事業費の一部を地方自治体が負担する「直轄事業負担金」制度の廃止に向けた議論を始めた。当面の焦点は、10年度からの維持管理費分の負担金廃止と、それに伴う修繕費の負担金の扱い、流水占用料の帰属で、10年度予算案編成前の12月上旬までに対応を固める。建設費分の負担金の見直しを含む工程表の素案については12月中にまとめ、地方との意見交換に移る。

4省の政務官で構成する「直轄事業負担金制度等に関するワーキングチーム(WT)」が19日に国交省で初会合を開催。座長の長安豊国交省政務官は「直轄事業負担金はただ廃止すればいいという議論ではない。各省との意見交換を通じてしっかりと結果を出したい」と述べた。11月下旬に開く第2回会合で論点整理を行う。

直轄事業負担金については、全国知事会が7月に改革案をまとめ、制度自体の廃止や負担金の対象範囲の見直し、10年度からの維持管理費負担金の廃止などを国に求めた。これに対し前原誠司国交相は10年度予算から維持管理費の負担金を廃止し、4年間で段階的に制度を廃止する考えを表明。今月2日に開かれた全国知事会との意見交換会では、批判が多い職員の退職手当や職員住宅の建設費などは「負担金の中身を精査して正当なものを請求する」と09年度分から除外する方針を打ち出している。

WTでは、来年度に維持管理費負担金を廃止した場合を想定し、修繕費(清掃費、更新費)に含まれる更新費を廃止するか建設費に移し替えるかなど扱いを検討。負担金の対象範囲については業務取り扱い費(退職手当、営繕宿舎費など)を見直し、09年度分の地方負担金の請求範囲を確定する予定だ。一方、河川から取水する事業者が都道府県に支払う流水占用料の帰属問題では調整の難航も予想される。さらに藤井裕久財務相は、地方の負担金を廃止した分、国直轄事業を縮減する可能性に言及しており、話し合いが長期化する可能性もある。

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