2009/12/9 国交省/下請・資材業者の債権保証事業を創設/元請倒産リスク回避へ

【建設工業新聞 12月9日 記事掲載】

政府が8日決定した追加経済対策に下請建設業者への金融支援が盛り込まれたのを受け、国土交通省は09年度第2次補正予算で、下請・資材業者が元請業者に対して保有する売掛債権の保証事業を創設する方針だ。公共事業が大幅に削減され、建設会社が厳しい経営状況に追い込まれると予想されるため、ファクタリング(売掛債権買い取り)会社を使って新たな保証事業を展開。ファクタリング会社が元請の債権支払いを保証する際の保証料を国が助成するほか、元請業者が倒産した際には国が一部損失補償を行うことで、下請・資材業者の債権を保全する方針だ。財務省とも協議の上、2次補正予算案の閣議決定までに制度の詳細を詰める。

追加経済対策で下請建設業者への金融支援に47億円が計上されたことを受けて新たな保証制度を設ける。既存の下請資金繰り支援制度は、手形を中心に下請・資材会社の債権をファクタリング会社による買い取りで早期に現金化し、資金繰りを円滑化する制度だが、新制度は元請が倒産した場合に下請・資材業者の債権を保全し、経営リスクを回避することが目的。具体的には、元請業者の債権支払いをファクタリング会社が保証する際に保証料を国が助成し、保証をしやすい環境を整える一方、元請業者が倒産してファクタリング会社による下請・資材業者への支払いが必要になった場合には、国が一部を損失補償することでファクタリング会社のリスクを軽減する。

保証条件や損失補償割合などは今後詰めるが、47億円の費用は09、10年度にまたがっての制度運用を想定している。既存の下請資金繰り支援制度は、新政権の補正予算見直しで10年度分が凍結されているため、09年度は二つの下請金融支援制度が並行して運用されることになる。

追加経済対策にはほかに、建設労働者の雇用確保、再就職の促進、建設会社の成長分野展開も盛り込まれた。予算計上はなかったものの、雇用確保に向けては厚生労働省と連携して建設教育訓練助成金の運用拡充などを検討。建設事業の高度化だけでなく、成長分野への事業拡大に向けた教育訓練にも助成金を活用できるようにする考えだ。

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