2009/12/16 国交省/下請債権保全支援事業でスキーム/振興基金に46億円の基金創設

【建設工業新聞 12月16日 記事掲載】

09年度第2次補正予算案が15日に閣議決定され、下請建設業者への金融支援に47億円が計上されたのを受け、国土交通省は「下請債権保全支援事業(仮称)」の大枠を固めた。ファクタリング(売掛債権買い取り)会社が元請債権の支払いを保証する際の保証料に国が直接助成するほか、建設業振興基金に新たな基金を創設し、元請業者が倒産した際にはファクタリング会社に損失補償を行うことで、下請・資材業者の債権保全を図る。保証された債権はリスクが小さくなるため、国交省は同事業とは別枠で、債権を早期に現金化し、下請・資材業者の資金繰りに役立てる仕組みも検討する。

公共事業が大幅に削減され、建設会社が厳しい経営状況に追い込まれることが予想されるため、ファクタリング会社を使って新たな保証事業を展開。元請業者が倒産した場合にも下請・資材業者の債権を保全し、経営リスクを回避できる体制を整える。具体的には、下請・資材業者への元請債権の支払いをファクタリング会社が保証する際、保証料に国が直接助成することでファクタリング会社が保証をしやすい環境を整備する。本年度分の助成費用として1億円が計上された。

同事業は11年3月末までの時限措置として実施。10年度分の助成費用は当初予算にあらためて計上する。残る46億円は11年3月末までに元請業者が倒産した場合に備え、建設業振興基金に基金として積み立てておき、ファクタリング会社に損失補償を実施する。振興基金を活用するのは、既存の下請資金繰り支援制度でファクタリング事業への知見を持ち、既存システムの活用も可能なためとしている。

保証料への国の助成率や下請・資材業者が債権保証を受ける際の条件などは今後詰める。制度の詳細を振興基金に通知するなどした上で、国交省は本年度のできるだけ早い時期に事業を開始する考えだ。今回の保証事業は、下請・資材業者の資金繰りを円滑化するものではないが、保証された債権はリスクが小さくなるため、債権の中でも特に手形については、事業と別枠で早期に現金化したり、担保にして融資を受けたりできる制度を検討することにしている。

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