2010/1/6 10年度政府予算案/削減続く公共事業関係費/新交付金創設も全体では大幅減

【建設工業新聞 1月5日 記事掲載】

 10年度の政府予算案で公共事業関係費の大幅削減が打ち出され、政府全体では前年度比18・3%減の5兆7731億円にとどまった。過去20年間で見ると最低の水準で、補正予算も含めて比較すると、最も多かった1998年度(14・9兆円)の4割弱の規模となる=グラフ参照。大型直轄事業については、国際競争力の強化や、国民生活の安全・安心の確保に必要な分野に限られた予算を重点配分する方針で、「厳しい優先順位付けを行う」(財務省)としている。公共事業の多くを抱える国土交通、農林水産両省は、地方自治体向けに、各分野の補助金・交付金制度を廃止して一体的に再編した新型交付金を創設するが、事業規模は縮小される。

 10年度予算案の編成では、「コンクリートから人へ」という鳩山政権の政策理念や、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」の結果を踏まえ、公共事業関係費の大幅な圧縮が図られた。当初予算額の実質ベースで見ると、前年度比10・7%減となった02年度から9年連続のマイナスとなった。

 事業仕分けの結果を踏まえたものでは、国土・景観形成事業推進調整費(400億円)や農道整備事業(169億円)などが廃止されたのをはじめ、直轄港湾整備事業の予算額が前年度比で27・3%削減され、新規事業の実施対象とする重要港湾が全体の約4割に限定される。

 補助金と交付金については、国交省では「社会資本整備総合交付金(仮称)」(2・2兆円)に、農水省では「農山漁村地域整備交付金(仮称)」(1500億円)に再編される。各分野ごとに補助金の採択先を決める従来の手法を改め、自治体が策定した公共事業の計画に沿って国が総合的・一体的に支援する形にする。新交付金を含めても、公共事業関係費は、国交省で同15%減、農水省で同34%減となる。

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