2010/2/24 都道府県10年度予算案/投資的経費7%減/単独事業は増額相次ぐ

【建設工業新聞 2月24日 記事掲載】

 21日に知事選があったために編成が遅れている長崎県を除いた46都道府県の10年度当初予算案が23日、出そろった。一般会計の総額は前年度比1・8%増の48兆6721億92百万円。このうち投資的経費は、国の補助事業や直轄事業負担金の削減が大きく、総額6兆4780億31百万円と前年度に比べ7・0%の減少となった。地方建設業の経営悪化を少しでも抑えるため、全体の3分の2の自治体が単独事業を増額した。全体としては、財政基盤の弱さが露呈した形で、地方交付税と臨時財政対策債に頼らなければ十分な予算編成ができない「綱渡り予算」となっている。

 投資的経費が増額になったのは栃木、東京、新潟、富山、長野、岡山、高知、沖縄の8都県。「公共事業というのは、やはり景気の刺激になる」(石原慎太郎都知事)とする東京都は、香川県の投資的経費の15倍に当たる約8137億円を計上。都だけで全体の投資的経費を12%引き上げた。残りの38道府県は財政難を理由に投資的経費を削った。投資的経費の削減率が2けたになったのは、北海道、秋田、茨城、群馬、千葉、福井、石川、愛知、岐阜、京都、広島、山口、熊本の13道府県に上る。

 地域経済へのダメージを少しでも軽くするための腐心も見られる。投資的経費・普通建設事業費の単独事業を大幅に増額した自治体は29都道府県に達し、中でも沖縄、山形、茨城は単独事業費を5割も増やした。松沢成文神奈川県知事は「県内の建設会社にもある程度仕事が回り、雇用の確保につながるよう配慮した」という。

 一般会計の総額は前年度比1・8%増とわずかに増えたが、基金からの借り入れ見直しで一時的に大幅増になった大阪府の金額を実質ベースに直すと、総額は前年度比0・3%とほぼ横ばいとなっている。歳入をみると、法人住民税、法人事業税の法人2税が09年度に引き続き減収。さらに10年度は他の税収にも景気低迷の影響が及んだ。歳入不足を穴埋めするため、東京都を除くすべての道府県が臨時財政対策債(赤字地方債)の増額に追い込まれた。増額幅は前年度比10%から最大約120%(愛知県)に上る。その結果、臨時財政対策債が歳入に占める割合は1割程度まで膨らんだ。

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