2010/2/25 国交省/09・10年度の資格審査見直し/「成績重視」「評価の分散化」に効果

【建設工業新聞 2月25日 記事掲載】

 国土交通省は、09・10年度分の同省直轄工事への競争参加資格審査に関する分析結果をまとめた。技術評価点数(主観点数)の算定式を見直したところ、工事成績が良好な企業などがより高い評価点数を得られるようになり、評価の分散化にもつながった。一方で、規模が大きな上位ランク企業では、工事件数の多さが評価に大きく影響してしまうことも判明。現在の対数値(LOG)を用いた算定方法よりも、平方根を用いる方が過度な変動を抑えられることが分かった。地方自治体発注工事の施工実績の加算については、重み付けが小さいため、等級変動に至ったケースは少なかった。国交省は今後、次回(11・12年度分)の資格審査に向けて見直しを検討。10年度上半期に方向性を固める方針だ。


 分析結果は、24日に開かれた「国土交通省直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」の企業評価検討部会(部会長・高野伸栄北大大学院准教授)の初会合で提示された。今回の算定式の見直しでは、施工した工事の規模による評価への影響を小さくするため、工事規模の実数を反映させていた算定式を対数値を用いる式に改めた。新規参入を促進する狙いで、8地方整備局の管内にある都府県の発注した工事の施工実績も0・1倍を乗じた上で加算。技術評価点が0点の企業を最下位等級に位置付ける仕組みも盛り込んだ。


 分析結果によると、工事規模の対数値化により、工事の成績や受注件数が高評価につながることや、B等級とC等級業者の技術評価点が高くなる傾向が出ていることが分かった。評価の分散化も進み、例えば、関東地方整備局分だとB等級とC等級業者の点数は従来、200点以下に多くが集中していたが、250点から1000点までの範囲にも分布が広がった。


 こうした狙い通りの効果が出ている一方で、一般土木A等級の1位企業が、工事規模の対数値化により11位に下がってしまうといった影響も生じている。ケーススタディーとして、対数値の代わりに平方根を用いた場合を調べた結果、全体の傾向は変わらずに上位企業の変動も抑えられており、今後は、平方根など別の関数を用いることが検討課題となりそうだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る