2010/3/3 前原誠司国交相/継続工事の随契見直しへ/「1期だけ競争」疑問視

【建設工業新聞 3月3日 記事掲載】

 前原誠司国土交通相は2日の衆院予算委員会で、直轄事業の継続工事で行われている随意契約について、見直しを検討する方針を表明した。工期が長い案件などでは、全体を複数に分割し、初弾の工事で競争入札を行い、第2期以降は初弾工事の受注業者と随意契約するケースが多い。この場合、競争が最初だけに限られる欠点がある一方、現場特性を踏まえた対応や仮設資材の扱いなどの面では同じ業者が工事を続ける方がメリットが大きいこともある。見直しの具体的な方向性は明らかになっていないが、省内で検討を進めていくとしている。 

 共産党の笠井亮氏への答弁。前原国交相は「第1期は透明度の高い入札方法がとられつつあるが、継続事業になるとほとんどが随意契約であり、見直しの対象にしなければならない」とした上で、具体的な対応については「どの時点を境に継続工事の発注のあり方を見直すのかは、内部で検討したい」と述べるにとどめた。 

 国交省の直轄工事等契約関係資料(08年度実績)によると、全地方整備局発注の全工事(1万2027件)のうち随意契約は924件。この中には、継続事業で初弾工事と同じ受注者と契約したケースが相当数含まれるとみられる。現状では、複数年度にまたがる工事を発注する際の債務負担行為は5年間に限定されており、工期がこれ以上に長い案件では工事を分割しなければ対応できない。しかし、その都度、入札を行って受注者が変わってしまうと、仮設・資機材の出し入れなどの手間が発生。コスト増や工期の長期化につながる懸念もある。このため初弾工事以外に関連工事が見込まれている案件では、入札公告の段階で随意契約案件があることが提示されている。 

 一方、継続事業に随意契約を採用すると、初弾工事の競争に事業全体での対応が左右される懸念がある。現在は、予算上の都合で工事が分割されているとも言え、コストや効率を考慮すると一括発注が望ましいと見る向きもある。ただ、一括発注は受注機会の縮小にもつながるためさまざまな議論を呼ぶ可能性がある。 

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