2010/06/03 鳩山首相退陣表明/国交省や業界に衝撃と動揺/行政のぶれに懸念も

【建設工業新聞 6月3日 記事掲載】

 鳩山由紀夫首相が2日、退陣を表明した。米軍普天間基地の移設問題をめぐる混乱や、自身の「政治とカネ」の問題を受けての引責辞任。昨年の歴史的政権交代からわずか8カ月余りでの退陣表明に、国土交通省や建設業界にも大きな衝撃と動揺が走った。


 前原誠司国交相は2日、首相の退陣表明を受け、同省内で記者団の質問に答え、民主党が昨年8月の選挙でマニフェストに掲げた政策を「(首相が代わっても)当然続けていくべきだ」との考えを明らかにした。子ども手当や高速道路無料化などに国民の賛否両論があることも念頭に置きつつ、「道半ばでふらついてはいけない。ぶれてはいけないのは民主党自身だ」と強調。着実に施策を実行する中できちんと説明責任を果たしていけば「国民の理解を得られる」との見方を示した。


 国交省内には動揺が広がった。前原国交相は、菅直人副総理兼財務相や岡田克也外相とともに後継の首相候補として名前が取りざたされているためだ。国交相が交代することになれば、これまで前原氏の下で積み上げてきた政策はどうなるのか-。高速道路料金の見直しに向けた道路財政特別措置法改正案をはじめ、今国会で成立を目指している法案も複数残っている。国会審議の行方を不安視する官僚も少なくなかった。


 建設業界も前原国交相の進退を注視している。業界内には前原国交相に対し、公共事業の大幅削減などへの不満がある一方、前原氏が先月末、「11年度以降の3年間は公共事業費を削減しない」との方針を表明したことなどに対し、「やっと(建設業界の)現状への理解が進んできた」(関係者)との声も聞こえ始めていた。国交相の交代で国土交通行政が再びぶれ、混乱を生じることになりはしないか、不安を隠せないようだ。民主党は、4日に鳩山氏の後継代表を選出し、同日中に衆参両院で首相指名選挙を実施したい考えだ。

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