2010/06/18 7月11日参院選へ火ぶた/各党がマニフェスト/慎重な検証必要

【建設工業新聞 6月18日 記事掲載】

 通常国会が16日に閉幕し、7月11日投開票の参院選に向け、各党は事実上の選挙戦に突入した。各党は17日までに相次ぎマニフェスト(選挙公約)を公表し、それぞれの政策を訴え始めている。昨夏の衆院選では民主党が政権交代を実現。公共事業の大幅削減や高速道路の無料化をはじめマニフェストの内容がその後の政策運営に大きな影響を与えることを見せつけた。この参院選で、建設業界も各党のマニフェストを真剣に検証し、国政を委ねる政党を慎重に選択する必要がありそうだ。
 
 
 民主党のマニフェストは、危機的財政の健全化と経済成長との両立を目指す内容になった。衆院選マニフェストからは大幅に修正されたが、公共事業中心、あるいは偏った市場原理主義による経済政策を否定し、閉そく感を吹き飛ばすことができる「第三の道」を歩むことを明記している。公約は「行政刷新」「政治改革」「外交・安保」など10項目で構成。「交通政策・公共事業」では、これまでの政策を継続させ、高速道路の段階的な原則無料化、八ツ場ダムを含めた「できるだけダムに頼らない治水」への政策転換、ハブ空港の戦略的整備などに取り組む方針を示した。また、官民一体でインフラの国際展開にも取り組むとしている。
 
 
 民主党と連立を組む国民新党は、最重要政策に掲げる郵政改革の見直しを通じて郵貯やかんぽの資金を戦略的に運用し、各地域ブロックで大型の国家プロジェクトを推進する方針を強調。整備新幹線や空港、高速道路網といった高速交通ネットワークの完成による競争力の強化も掲げた。
 
 
 一方、野党側では、自民党が「日本の未来を切り開く成長戦略」として、内需・外需の拡大を目指す方針を掲げた。原案では、必要な社会資本の前倒し整備による「未来への投資」を行うとともに、その担い手である地域の良質な建設産業を育成すると明記。高速道路に関しては、現行の料金割引制度を維持・拡充する方向で見直す方針を示すとともに、八ツ場ダムに関しては事業を完成させる方針を打ち出し、民主党との違いを鮮明にした。

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