2010/06/23 地域主権戦略大綱が閣議決定/一括交付金、11年度から段階的導入へ

【建設工業新聞 6月23日 記事掲載】

 政府は22日、今後2~3年の地域主権改革の方向性を示す地域主権戦略大綱を閣議決定した。各府省縦割りの国庫補助負担金に代わる一括交付金を11年度から段階的に導入するなど、自治体の裁量拡大、地方への権限移譲を促す施策を盛り込んだ。国の出先機関改革では、具体的なスケジュールを明示した「アクションプラン」を年内をめどに策定する方針だ。
 
 
 一括交付金については、対象となるひも付き補助金の範囲を最大限広く取ると明記。社会保障・義務教育関係の全国画一的な現金給付や、地方の裁量拡大に寄与しない義務的な補助金は対象外とし、11年度は施設整備など投資関連の補助金、12年度からはサービス給付など経常的な補助金を順次一括化する計画だ。配分額は各自治体が作成する事業計画と、人口や面積といった客観的指標を勘案して決める。具体的な制度設計や対象となる補助金の選定、一括交付金の総額などは秋口から本格化する11年度予算編成の中で議論する。
 
 
 各省の地方出先機関の事務・権限については、「地方へ移譲」「廃止」といった仕分け作業を8月末までに実施。その結果を基に、地域主権戦略会議で権限移譲のスケジュールなどを明示するアクションプランを固める。このほか、国が法令で縛っている自治体の事務・実施方法などの義務付け・枠付けの見直し、都道府県から市町村への権限移譲については、必要な一括法案などを11年の通常国会に提出するとした。今回の大綱による改革の成果を踏まえ、政府は12年夏をめどに「地域主権推進大綱」を策定する予定。
 
 
 前原誠司国土交通相は、地域主権戦略大綱に盛り込まれた一括交付金について、22日の閣議後記者会見で「交付税との違いを精査する必要があり、交付金はあくまでも政策目的を実現するためのものだ」と指摘し、国がどこまで関与するかを制度設計の中で検討していく必要があるとの考えを示した。

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