2010/09/06 土工協・中村満義会長/成長促進型公共事業の前倒し執行を/雇用への即効性期待

【建設工業新聞 9月 6日 記事掲載】

 日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は3日の理事会後の記者会見で、景気や雇用の現状に懸念を示した上で、「真に必要とされる成長促進型の公共事業の前倒し執行を真剣に考えるべきだ」と述べた。中村会長は、土工協が行っている国内外の景気動向の分析を踏まえ、「二番底という地獄を見る可能性もある状況」と指摘。雇用創出が緊急課題となっていることから、「公共事業は、本当にやらなければならない社会資本整備をやることができ、なおかつ雇用を生み出す即効性もある」と強調し、即効性に着目した公共事業の実施に期待をにじませた。
 
 
 土工協は、円高や米経済の停滞、中国経済の成長減速といった要因で輸出が鈍化し、国内需要も家電エコポイントやエコカー減税などの政策による需要拡大が頭打ちになる可能性があることから、景気の二番底の危険性があると分析している。
 
 
 こうした状況を踏まえ中村会長は、「(政府も必要性を認めている)高速道路など真に必要な事業を成長促進型の公共事業ととらえ、前倒しで執行することが成長と雇用促進になる」と指摘。「(現状で)最も有効な経済政策手段だと1年前よりも声を大にして言える。真に必要な公共事業のグランドデザインをつくり、実行に移す概算要求であってほしい」と強調した。その上で、事業の具体例として、流通やエネルギーコストを低減し、採算に優れた公共事業をイメージし、▽高速道路▽新幹線▽リニア新幹線▽ハブ空港・港湾▽ソーラー発電▽クリーン型エネルギー-を挙げた。
 
 
 中村会長は、「公共事業の無駄を省くことは大賛成」と述べるとともに、「予算という枠も考えていくべきだ」と語り、民間資金の導入なども含め幅広く検討することが重要との認識を示した。さらに、「公共事業は建設業対策ではない。建設業を活性化して雇用を生むことで、需要や消費にお金が回る。為政者は、国民が大事であり、建設会社のためにやるのではない」と述べ、公共事業のイメージへの誤解を解くことの必要性も指摘した。

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