2010/09/16 菅直人首相が再選/国交省、政策継続に安ど/業界は成長戦略推進に期待

【建設工業新聞 9月 16日 記事掲載】

 民主党代表選で再選された菅直人首相は15日、党役員人事と、17日にも行う内閣改造に向けた調整を本格化させた。菅首相が再選されたことに、国土交通省には「11年度予算案や補正予算案の編成に向けてこれまで積み上げたものを生かせる」と安どの空気が広がった。同省や地方自治体、建設関連業界などからは、菅首相が8月末に打ち出した新経済成長戦略の推進を柱とする追加経済対策の実行と早期の補正予算編成への期待感も高まっている。ただ、衆参ねじれ国会や党内の路線対立による政策の迷走といった政権の安定を揺るがす不安要因も消えておらず、今後、首相がどれだけリーダーシップを発揮できるかに注目が集まっている。
 
 
 14日の代表選で菅首相の再選が決まった直後、国交省内では「これまでの国土交通政策を粛々と進められる方向になったのでありがたい」「11年度予算案や10年度補正予算案の内容を考えているところで、(小沢一郎前幹事長に代表が代わって)予算案が組み替えになると、これまでの努力が無になる。今までの積み上げを生かせる」などと安ど感が広がった。同時に、「内需主導の景気回復を進めるのであれば、建設業にきちんと目配りしてほしい」と新たな菅政権に期待と注文の声も上がった。一方で、「衆参のねじれで施策が止まるのは困る」と党内対立やねじれ国会の影響を不安視する声も聞かれた。
 
 
 地方自治体からは、円高対策や大胆な地方振興策、地域主権改革を求める声が一斉に上がった。全国知事会会長の麻生渡福岡県知事はまず「円高を止めるというしっかりした決意を行動に移してもらいたい」と述べ、経済対策の次に期待する事項として「地域主権関連3法を臨時国会に出して必ず成立させてもらいたい」と地域主権改革の推進を要望した。
 
 
 菅首相の続投を受け、建設業界では、今後の経済対策と、内閣改造での国交相人事に注目する向きが多い。ある建設業界関係者は「需給ギャップを埋めるために、即効性がある需要創出策が必要だ」と指摘。米国のオバマ政権が先に、大規模なインフラ整備を含む大型の経済対策を打ち出したことなども踏まえ、経済成長や雇用確保につながる公共事業の実施に期待感を示した。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る