2010/11/15 主要ゼネコン4~9月期決算/減収増益傾向が鮮明に/受注減には歯止めかからず

【建設工業新聞 11月 15日 記事掲載】

 主要ゼネコン各社の10年4~9月期連結決算が12日までに出そろった。日刊建設工業新聞社が10年3月期の連結売上高が1000億円以上だった26社を対象に集計したところ、26社合計で売上高は前年同期比より約15%減少したが、本業のもうけを示す営業利益は約97%増加し、減収増益傾向が鮮明になった。止まらない建設投資の縮小で減収が避けられない中でも利益を生み出す体質へと転換を図るため、各社が近年取り組んできたコスト削減や選別受注などの効果が出てきた格好だ。大手各社では4~9月期に一部の大型プロジェクトで追加変更が発生したことも損益改善の追い風になった。
 
 
 売上高は戸田建設、長谷工コーポレーション、東急建設、東洋建設、ナカノフドー建設、飛島建設を除く20社が前年同期より減らした。一方で、売り上げ計上した工事の採算を示す完成工事総利益(粗利)率(単体ベース)は20社が前年同期より上昇。その結果、15社の営業損益が改善した。減収増益となった企業は大手を中心に10社に上った。
 
 
 粗利益率の向上は、不採算工事の受注回避や、生産システムの効率化、資材価格が安定的に推移したことなどが要因だ。粗利益率が2~6ポイント上昇した鹿島、大成建設、清水建設、大林組の大手4社は「一部の大型プロジェクトで追加変更を獲得できた」ことも一因に挙げている。このほか、奥村組など前期までに赤字工事の影響を一掃したことで粗利益率を大きく改善したところも少なくない。こうした工事採算の改善に、合理化による販管費の削減といった各社の企業努力が加わって増益に寄与した形だ。
 
 
 一方、今後の業績の先行指標になる受注高は、公共工事の削減と民間設備投資の回復遅れが響き、減少傾向に歯止めがかかっていない。受注高を伸ばしたのは鹿島、戸田建設、前田建設、五洋建設、ハザマ、淺沼組、大豊建設、ピーエス三菱、飛島建設の9社にとどまり、26社合計の単体受注高は前年同期比で7%減少した。通期の受注高は、26社中17社が前期より増えると見込んでいるが、受注目標の達成は厳しい状況と言えそうだ。

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