2010/11/19 主要ゼネコン4~9月期決算/工事採算が大幅改善/下期は慎重な見方

【建設工業新聞 11月 19日 記事掲載】

 主要ゼネコン各社が今月発表した10年4~9月期決算で、工事採算の改善が進んだことが明らかになった。日刊建設工業新聞社が10年3月期の連結売上高が1000億円以上だったゼネコン26社を対象に、10年4~9月期に売り上げ計上した工事の採算を示す完成工事総利益(粗利益)率(単体ベース)を集計した結果、26社平均で7・7%と前年同期より1・6ポイント上昇。上昇幅も10年3月期(前期比0・3ポイント上昇)、09年4~9月期(前年同期比0・9ポイント上昇、27社平均)を大きく上回った。
 
 
 選別受注とコスト管理の徹底や資材価格の安定に加え、一部の大型公共土木工事で追加変更があったことも追い風になったようだ。今後、当面の焦点は11年3月期の粗利益率。採算改善の一方で受注高の減少傾向は続いており、縮小する市場で価格競争が激化すれば、再び採算改善の足を引っ張る可能性もある。
 
 
 10年4~9月期は、26社中19社の粗利益率が前年同期より上昇した。土木事業を行っていない長谷工コーポレーションを除く25社の土木・建築別の粗利益率をみると、平均値は土木が8・1%と前年同期から2・8ポイント上昇。建築は6・6%と0・5ポイント上がった。土木の粗利益率は、採算割れの海外大型土木工事の影響で近年は低迷していたが、これらの処理が進んだことに加え、一部大型公共工事の追加変更の発生という特殊要因も重なり、大幅な上昇となったようだ。9社の粗利益率が前年同期比で5ポイント以上上昇。中には上昇幅が10ポイント以上となった企業もあった。建築も鋼材など資材価格や労務費が安定的に推移し、選別受注などに加えて利益を出しやすい環境が続いたとみられる。
 
 
 一方、11年3月期の粗利益率見込みは平均で7・0%。10年3月期の6・4%より上昇するが、通期では上期の上昇幅には届かない。下期の事業環境を厳しく見て、堅実な目標を設定している企業が多いためとみられる。上期に粗利益率が上昇した19社の中で、通期の粗利益率が上期よりさらに高くなると見込んでいるのは、五洋建設、鉄建、淺沼組の3社に限られる。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る