2011/01/13 国交省/住宅瑕疵保険会社の監視強化/倒産リスク想定、加入者の安全網確保

【建設工業新聞 01月 13日 記事掲載】

 国土交通省は、住宅瑕疵(かし)担保履行法で国交相の指定を受けた保険法人に対する監視体制を強化する。住宅事業者(建設業者や宅地建物取引業者)など保険加入者に対する現場検査や、瑕疵があった際の保険金の支払い状況など、各保険会社が業務を適正に遂行しているかどうかを厳しくチェックし、問題があれば業務停止などの処分を厳格に下す方針。こうした取り組みと併せ、処分を受けた保険会社が経営悪化で倒産した際、保険加入者のセーフティーネットを確保するため、同法施行規則の一部を改正する。
 
 
 09年10月に全面施行された住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅の売り主には、販売した住宅に欠陥があった場合に備えて瑕疵担保責任を履行するのに必要な資力確保措置(瑕疵保険への加入または保証金の供託)が義務付けられた。現在、国交相の指定を受けた住宅専門の保険会社は6法人あり、保険対象物件の工事中に専門の検査員が施工状況を検査し、瑕疵発生の抑制を図っている。10年度にはリフォーム工事を対象にした瑕疵保険制度も本格的にスタートした。
 
 
 瑕疵保険制度の導入が円滑に進み、本格的な普及期に入ってきたことから、国交省は制度の運用状況を踏まえて保険法人に対するチェック機能を一段と強化する考え。立ち入り検査では、瑕疵発生時の保険金の支払い渋りの有無や、工事中の現場検査を厳格に実施しているかどうかなど業務の遂行状況を重点的に調査。何らかの問題があった場合は改善を指導し、悪質な場合は業務停止など処分を行う。
 
 
 国交省は、処分を厳格化した場合、風評被害などにより保険会社の経営状態が悪化し、倒産するリスクが高まることを想定。そうした事態に備え、倒産・廃業した保険会社の保険業務と保険契約による責任・支払い準備金などを速やかに他の指定保険法人に引き継ぐことができるよう、同法施行規則を一部改正する。現在、改正省令案への意見を募集しており、2月下旬の施行を予定している。

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