2011/01/14 10年の建設業倒産、13・7%減/4年ぶり4千件割れ/東京商工リサーチ

【建設工業新聞 01月 14日 記事掲載】

 東京商工リサーチが13日発表した10年(1~12月)の建設業倒産(負債1000万円以上)は3523件(前年比13・7%減)と、4年ぶりに4000件を下回った。大型倒産の減少で負債総額は5277億円(42・2%減)にとどまった。中小企業向けの金融円滑化法や緊急保証制度といった金融政策に支えられ、月別の倒産件数は12月まで18カ月連続で前年同月を下回って推移した。ただ、年後半にかけては減少率が1桁になるなど政策効果は薄らいできたとみている。
 
 
 業種別の倒産件数は、総合工事業1755件(24・1%減)、職別工事業1152件(1・9%増)、設備工事業616件(4・0%減)。「受注(販売)不振」を原因とした倒産が全体の73%に当たる2583件(7・3%減)を占めたほか、「既往のしわ寄せ」による倒産が398件(24・0%減)、「運転資金の欠乏」による倒産が211件(33・8%減)、「他社倒産の余波」による倒産が140件(24・3%減)だった。
 
 
 負債規模別の倒産件数は、10億円以上が59件(56・2%減)、5億円以上10億円未満が168件(7・1%減)、1億円以上5億円未満が1046件(21・3%減)、5000万円以上1億円未満が719件(8・7%減)、1000万円以上5000万円未満が1531件(7・3%減)となった。100億円以上の大型倒産はエービー産業(大阪府)の1件のみで、1億円未満の倒産が2250件と全体の6割を占めた。地域別では、9地区すべてで前年を下回り、北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国、九州の7地区では2桁の減少率となった。
 
 
 10年の建設業倒産の減少について同社は「主に景気対策に依存し、企業業績の改善が伴ったものではない」と分析。今年3月に緊急保証制度が零細企業を除いて終了すれば、公共工事の削減傾向が続く中で倒産の反動増が懸念されるとしている。一方、帝国データバンクが同日発表した10年の企業倒産(負債1000万円以上の法的整理)集計によると、建設業の倒産は3136件(8・9%減)だった。

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