2011/02/14 小規模工事の利用増加/債権譲渡による転貸融資、1千万円以下が急増/国交省

【建設工業新聞 02月 14日 記事掲載】

 地域建設業者が公共工事などの請負代金債権譲渡を利用した転貸融資を受ける際に国が支援を行う国土交通省の「地域建設業経営強化融資制度」で、債権譲渡金額が1000万円を下回る小規模工事を利用した融資が増えていることが分かった。国交省の調査によると、同制度を利用した全融資件数に占める1000万円以下の融資の割合は、制度創設当初(08年11月~09年3月)に比べ、10年12月までの累計では1・7倍に急増していた。建設業者がこの融資を利用するには、公共工事の発注者から債権譲渡の承諾を受けることが必要で、国交省は10日、小規模工事の発注が多い市区町村に対し、利用促進のための解説書などを送付した。
 
 
 調査結果によると、08年11月~09年3月は、債権譲渡額5000万円以下の融資が全体の42・0%、5000万円超~1億円以下の融資が20・4%、1億円超の融資が37・6%を占めていた。これに対し、10年12月までの累計をみると、5000万円以下が55・0%、5000万円超~1億円以下が22・5%、1億円超が22・5%となり、5000万円以下の割合が大きく増加。その中でも特に1000万円以下の融資が9・8%と、08年11月~09年3月の5・9%から大幅に伸びていた。
 
 
 一方、同省が昨年11月、1750市区町村に実施した調査によると、10年12月末時点で543団体(全体の31%)が債権譲渡を承諾する制度を導入済みで、09年12月以降に55団体が新たに加わった。最も導入率が高い地域は北陸の87・5%(64団体中56団体)で、最も低いのは近畿の22・9%(215団体中44団体)だった。未導入の1207団体のうち、「導入検討中」は245団体、「導入未定」が489団体、「導入予定なし」が441団体。
 
 
 調査では、市区町村の発注する請負金額1億円以下の工事のうち、1000万円以下の工事の件数が約7割を占めたことから、国交省は「比較的小規模な工事発注が多い市区町村でも制度を導入する意味はある」と導入拡大を期待している。同制度では、受注した公共工事の出来高が5割に達すれば出来高に応じて融資を受けられる。10年12月までの融資件数は5708件で、融資総額は1364億円。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る