2011/02/23 国交省/建設産業戦略会議、各論検討に着手/地域維持への入札制度必要

【建設工業新聞 02月 23日 記事掲載】

 国土交通省が設置した有識者による「建設産業戦略会議」の6回目の会合が21日に開かれ、建設産業の過剰供給構造の分析や、地域維持型の契約方式に関する議論が行われた。過剰供給構造に関しては、中小建設業者や土木分野の利益率が相対的に低く、過剰感が高い実態が指摘されたほか、除雪などの地域維持型業務については、担い手である地方建設業が小規模化し、対応できなくなっている現実が示された。次回会合は28日の予定。3月の中間取りまとめに向け、国交省は素案を示して議論を行いたい考えだ。
 
 
 同会議は、業界団体10グループからの意見聴取を終え、21日から「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」を具体化する各論の検討に入った。国交省が行った実態調査をベースに建設産業や入札契約制度の現状と課題を議論し、中間取りまとめにに盛り込む具体的政策を検討した。
 
 
 建設産業の現状分析で議論になったのは、業界の過剰供給構造。特に中小建設業は販管費率が高いために利益率が低く、業者数が多い上に小規模化し、人や建設機械などを抱えることができなくなっている実態が、過剰供給構造の本質として指摘された。大手建設会社は、販管費を抑えているものの、他産業に比べれば依然高い実態も報告された。
 
 
 入札契約制度では、ダンピング対策の状況が報告され、地域維持型業務の実施体制の問題を議論。担い手である地域建設業が小規模化し、除雪や防災をはじめ地域の維持管理業務を担うことが難しくなっている現実や、維持管理業務の収益性が低く、単年度ごとの契約では人や機械の配置が難しい事情も明らかにされた。このため各委員の総論として、地域を維持していくために入札契約制度の変更が必要との方向を確認。従業員3~4人の企業であれば合併や提携をはじめ、地域の中小建設業者が維持管理業務を果たせる形態に誘導する方策を検討することになりそうだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る