2011/03/14 国交省/総合評価方式の抜本見直し検討へ/11年度に論点整理、改善要望受け

【建設工業新聞 03月 14日 記事掲載】

 国土交通省は11年度から、総合評価方式の入札の抜本的な見直しに向けて検討に入る。10日に同省内で開かれた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で明らかにした。公共工事の受・発注者を対象に実施した入札契約制度の改善に関するアンケートで、総合評価方式の改善に対する新たな要望が出てきていることなどが背景。今後、見直しの検討項目などを整理した上で、同懇談会に提示する考えだ。
 
 
 同日の懇談会では、昨年10~11月に国や地方の公共発注機関や建設業界などを対象に実施した現行の入札契約制度の改善策に関するアンケートの結果が報告され、総合評価方式について受・発注者ともに不良工事の減少や競争促進などの面で導入効果が高いと評価する回答が寄せられたことが明らかにされた。一方で、今回とほぼ同趣旨で行った08年度のアンケートの結果と比較すると、その総合評価方式の運用面については、建設業界から技術提案の審査・評価に関して「評価手法や評価基準の統一が必要」との要望が依然多かったのに加え、新たに「評価の透明化」や「審査体制の充実、省力化」という要望も寄せられた。評価結果の公表についても、前回調査では無かった「評価理由の公表」という要望が80%に上った。
 
 
 地方整備局などからは、技術提案の審査・評価に関して「技術提案のウエートや評価の点数差などの見直し」や「審査の簡略化や審査体制の充実」などが新たな要望に加わり、受・発注者間でも徐々に問題意識が変化している状況が分かった。さらに発注者と受注者の双方から「技術提案作成に必要なデータの提供、工事内容を説明する機会の設定」「異なる発注機関が保有する企業・技術者の実績・成績データの相互活用」などの要望が寄せられた。
 
 
 会合で小澤座長は、総合評価方式の導入を義務付けた公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の施行から5年が経過し、社会情勢が変化する中で総合評価方式の体系や運用をどうするかという議論は必要との認識を示し、「懇談会で来年度早々にも検討する必要がある」と述べた。国交省は各委員の意見などを踏まえ、抜本見直しに向けてどのような論点があるか整理する方針だ。

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