2011/03/22 国交省/建設業資金繰りで自治体に協力要請/被災前出来高の10年度内支払いを

【建設工業新聞 03月 22日 記事掲載】

 国土交通省は、東日本大震災で被災した自治体工事での建設業者の資金繰り対策をまとめ、18日付で都道府県や政令市に協力を求めた。同省直轄工事と同様、被災工事については「被災前の工事の出来高」に応じた年度内の支払いを検討するよう要請。困難な場合には、「被災後の工事の出来高」と「被災損害合計額の発注者負担分」の年度内支払いを求めた。支払えない場合には、受注者に「被災損害合計額の発注者負担分」の予定額(概算額)を債権譲渡し、地域建設業経営強化融資制度を活用できる体制を整える。調査・設計業務についても同様の措置を講じるという。
 
 
 同省は、建設会社の年度末の資金需要の増加に対応するため、都道府県と政令市に被災工事の代金支払いへの配慮を要請。市区町村にも同様の措置を周知するよう求めた。同省は、被災した直轄工事の出来高支払いについては、既に地方整備局に取り扱いを通知済みで、自治体にも同様の措置を取るよう要請した格好だ。
 
 
 被災前の出来高が90だった場合、年度内に90の部分払いを検討するよう求めた。仮に震災で出来高の20が滅失して70となった場合、請負契約約款では損害額として請負額の1%を受注者が、残りを発注者が負担することになっており、90の部分払いが難しい場合には、被災後の工事の出来高70と発注者負担分19の合計額の年度内支払いを要請した。それが困難な場合には、損害額の発注者負担分の19を債権として、受注者が地域建設業経営強化融資制度を活用できる体制を整える。残る出来高70についても、請負代金債権を事業協同組合などに譲渡すれば、転貸融資や直接融資を受けられるよう措置する。このため受注者から被災損害額の発注者負担分の譲渡申請があった場合には、承諾手続きを円滑に行うよう自治体に要請した。
 
 
 また、震災で出来高確認や支払いに必要な書類を建設業者が整えられない場合には、可能な範囲の書類や事情聴取で必要事項を確認し、支払いを行うことも求めた。福島の原子力発電所の事故で事務所に立ち入れない場合にも同様の措置を講じるよう要請。発注者が保有する書類の写しを受注者に交付して書類を作成させるほか、発注者の施工プロセス・チェックリストなどを活用して出来高を確認するよう求めている。

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