2011/03/28 国交省/保証債務履行に積極対応を/被災企業救済、ファクタリング会社に要請

【建設工業新聞 03月 28日 記事掲載】

 国土交通省は、下請建設業者がファクタリング(売掛債権買い取り)会社から元請向け工事代金債権の支払い保証を受ける際の保証料などを支援している「下請債権保全支援事業」で、東日本大震災の影響で下請への支払いが滞ることがないよう、保証債務の履行に積極的に応じることを求める通知を関係機関に出した。地震などの不可抗力で元請が支払い不能になった場合、保証債務を履行するかどうかはファクタリング会社の判断に任されているため、下請が救済されない恐れがあると判断した。下請の連鎖倒産を防ぎ、復旧事業に支障が出ないようにする狙いだ。
 
 
 国交省によると、今回の震災では、元請が被災して支払い不能になる可能性のある保証債権が80件(総額4億円程度)あることが既に判明。今後も新たな支払い不能債権が発生する可能性も高い。ただ、支払い不能の原因が地震などの不可抗力の場合、保証債務を履行するかどうかはファクタリング会社の個別判断に委ねられている。国交省は、ファクタリング会社が保証債務を履行しなければ資金繰りが滞って経営が悪化する下請が増加しかねないとみて、支援事業を行っている建設業振興基金を通じてファクタリング会社への要請を行うことにした。
 
 
 具体的には、元請が被災によって工事代金を支払えなくなった場合にも保証債務の履行に積極的に応じるよう求めたのに加え、下請が被災して保証債務の履行に必要な書類が整わない場合も柔軟に対応するよう要請。さらに、被災した元請の工事代金債権を対象とする新たな保証の引き受けに当たっても、過度に消極的な対応を取らないようするすることを求めた。
 
 
 下請債権保全支援事業では、下請業者がファクタリング会社に支払う保証料を建設業振興基金が助成。振興基金はさらに、元請の倒産などでファクタリング会社が保証債務を履行した際の損失補償(95%)も引き受ける。

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