2011/04/22 国交省/前払金5割に引き上げ/被災地特例、着工資金の確保円滑化

【建設工業新聞 04月 22日 記事掲載】

 国土交通省は、東日本大震災の被災地で行う同省発注工事について、通常は4割と定めている前金払いの割合を5割に引き上げる特例措置を講じる。設計・調査、測量などの前金払いも通常の3割から4割に引き上げる。被害を受けた業者の着工資金の確保を円滑化し、迅速な復旧・復興につなげるのが狙いだ。国交省は22日以後に契約する案件から適用。前金払いの割合引き上げと併せ、中間前金払いの対象工事も現行の1000万円以上から300万円以上へと拡大する。他の各省も追随する見通しだ。
 
 
 前金払いは、受注者の資材購入や労働者確保などの着工資金調達のため、発注者が請負代金の一定割合を契約後に受注者に事前に支払う仕組み。現在は原則4割で運用されている。特例措置では、通常工事で「請負金額の10分の4以内」とされている前金払いの割合を「請負金額の10分の5以内」に引き上げる。併せて、中間前金払いの対象となる工事について、通常は「1000万円以上で工期150日以上」としているのを「請負金額300万円以上」とする。中間前金払いの要件は通常工事と同じ、工事出来高と工期の2分の1以上を経過した段階とする。工事と同様に、設計・調査、測量業務や機械類の製造の前金払いの割合についても「請負金額の10分の3以内」から「請負金額の10分の4以内」に引き上げる。  
 
 特例措置を講じる期間は当面、11年度内とし、東日本大震災で災害救助法が適用された岩手、宮城、福島の3県の全域と、青森、茨城、栃木、千葉、長野、新潟の6県の一部市町村で行われる工事を対象にする。国交省は、4月22日以降に契約する新規工事や、3月12日以後に契約した工事で4月22日以降に変更契約になる工事などに特例措置を適用。自治体の工事についても同様の措置が取られるよう要請する方向で総務省と調整している。  
 
 国交省はこのほか、被災地で大量のがれきの処理が必要になっていることを考慮。自治体に対し、がれきの処理に関する作業を発注する場合は、前金払いを積極的に行うよう要請。公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)に対しても、がれき処理作業の前払金保証に適切に対応するよう求めた。

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