2011/06/27 国交省/一般管理費等率式の妥当性検証へ/公共土木工事の積算、市場変化踏まえ

【建設工業新聞 06月 27日 記事掲載】

 国土交通省は、公共土木工事費の積算費目の一つである「一般管理費等」の算出の際に使う算定式(一般管理費等率式)について妥当性の検証に入る。一般管理費等は工事を受注した企業の本社・支店経費(一般管理費)や事業継続のための利益(付加利益)などで構成する。現行の算定式は95年に作成され、当時とは経営環境などが異なる可能性もあるため、今夏をめどに有識者による「一般管理費等諸経費検証委員会(仮称)」を設置し、算定式の妥当性を検証する。
 
 
 公共土木工事の積算に含まれる一般管理費等は、工事を請け負った企業の本社・支店が工事を行う上で必要な人件費や租税公課などの経費である「一般管理費」(従業員給料手当、福利厚生費、通信交通費、調査研究費、地代家賃など21項目)と、請負企業が事業継続のために必要な利益や利息などの経費である「付加利益」(法人税、株主配当金、役員賞与金など5項目)で構成される。
 
 
 国交省は現在、企業の財務諸表の売上高を基に工事原価(直接工事費+間接工事費)と一般管理費等率の関係式(一般管理費等率式)を算出している。同省は景気の変動や建設市場の変化などによって一般管理費と付加利益の設定値は大きく変わっている可能性もあると判断。現行の一般管理費等を算出する方法をあらめて検証することにした。
 
 
 検証に当たっては、金融、会計、統計、経営、税理士などの有識者5人程度からなる専門委員会を設置する予定だ。委員会では一般管理費、付加利益とも、積算基準で定められた項目別に財務諸表から妥当な範囲を整理し、各項目別に積算額の算出方法を検討していく。より実態に即した一般管理費等率式へと見直す必要性を含め、総合的に議論を進める方針。国交省は特に、付加利益の妥当性について、市中金利の変動に対して柔軟性を持った算出方法などを専門委員に検討してもらう考えだ。専門委員会は、今夏に開催予定の初会合を含め3回の会合を計画しており、本年度末にも報告書をまとめる予定だ。

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