2011/09/27 国交省/総合評価方式見直しで検討方針提示/施工能力と技術力で評価

【建設工業新聞 09月 27日 記事掲載】

 国土交通省は、26日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)に総合評価方式の抜本的な見直しに向けた検討方針を提示した。現行の高度技術提案型や標準型I型、標準型II型、簡易型の4方式を、施工能力評価型と技術提案評価型、高度技術提案評価型の3方式に大別する。I、II型二つのタイプを使い分けている標準型は施工能力評価型と技術提案型に振り分ける方向だ。12月に開催予定の次回会合で改善案をまとめる。
 
 
 検討方針では、現行方式が抱える課題を挙げ、見直しに向けた検討のあり方を示した。入札参加者に簡易な施工計画を求める現行の簡易型については、満点者の割合が増加し、簡易な施工計画の得点率も80~100%に集中し、入札参加者の技術力の選別の観点から必ずしも有効に機能していないところがあると指摘。その上で施工能力を有する企業を確実に選別できる「施工能力評価型」への切り替えを検討する必要があると提案した。国交省は今後、簡易な施工計画の役割を検証し、これに代わる効果的、効率的な手法(ヒアリングなど)や、受注者の固定化に配慮した評価方法を検討する。
 
 
 標準型に関しては、WTO対象工事(工事6億9000万円以上)で技術評価点の最高得点者の落札率が高い一方、技術評価点の1位同点者数が増加し、技術評価点で差がつきにくくなっているため、技術提案・評価方法の検討が必要だと分析。現行の標準型について技術提案で企業の技術力を評価するタイプと、企業の施工能力を簡易に評価するタイプに二極化するよう見直し、その線引きを検討する。技術評価点に優位な差がでるような技術提案の設定方法、評価方法も合わせて検討する。
 
 
 高度技術提案型については、適用件数が少なく、活用拡大策の検討が必要と指摘。現行の仕組みは変えず、より企業の技術力を評価する観点から予定価格の設定方法や技術提案の評価方法、点数の付与方法などを検討する。適用件数の拡大に向けて手続き期間の短縮や簡素化なども検討する。国交省は今後、同懇談会を本年度内に2回程度開き、見直し策を固める方針。来年度以降に準備の整った地方整備局から新たな総合評価方式を順次適用していく。

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