2013/03/27 施工能力評価型Ⅰ型-負担軽減実感「半々」/受注者固定化懸念も/国交省調査

【建設工業新聞 3月 27日 記事掲載】

 国土交通省は、受発注者双方の負担軽減などに向けて12年度に試行導入した総合評価方式の入札の二極化(施工能力評価型と技術提案型)のうち、施工計画の提出を求める施工能力評価型I型の改善効果に関するアンケート結果をまとめた。入札参加者・発注者とも、事務手続きの簡素化や提出資料の削減などにより負担軽減効果があったとする評価と、施工計画の作成や審査・確認に要する負担は以前とあまり変わらないとの評価がほぼ半々となった。
 
 
 大別した二つの方式は3月1日時点で1780件(予定含む)の工事を対象に実施。内訳は、施工能力評価型のうちI型が675件、施工計画を求めないII型が937件、技術提案型のうち従来の標準I型に近いS型が164件、従来の高度技術提案型をほぼ踏襲したA型が4件となっている。
 
 
 施工能力評価型I型についてのアンケートでは、入札に参加した292者のうち35者が事務手続きについて「大幅に軽減した」、107者が「軽減した」と回答。全体の49%が負担軽減効果があったと評価した。発注者側(51者)もほぼ半数が負担が軽減したと回答した。同I型で求める施工計画は可・不可の二択審査のため、点数化していた従来の簡易型に比べると一定の負担軽減効果があったとみられる。一方で、半数の競争参加者・発注者は従来と「変わらない」と回答した。「申請書類は簡素化されたが、現地状況の確認・調査など施工計画作成に時間や手間を要する」といった意見が目立ち、発注者には「提案内容はこれまで同様に確認・審査を行い、地域貢献度・地域精通度など整備局独自の評価項目もあり、手続き上の負担は全体的には減っていない」との見方も多かった。
 
 
 入札参加者からは監理技術者の経験を優位に評価することが、若手技術者の育成阻害を招くとの意見も出された。今後の改善点では、評価項目や配点の見直しを挙げる入札参加者が多数を占めた。実績が豊富で技術者を多く抱えている企業が有利になるなど、競争者・発注者双方で受注企業の固定化を懸念する意見も目立った。同省は試行案件で示された改善点への対策を進め、13年度からの本格導入を目指す。

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