2013/04/22 標準見積書-9月めどに一斉運用開始/保険未加入対策で、協議会WG申し合わせ

【建設工業新聞 4月 22日 記事掲載】

 建設労働者の社会保険加入促進策として、建設工事で法定福利費の確保などを明示した標準見積書を下請企業から元請企業に提出する取り組みが、9月ころから一斉に始まる。国土交通省や建設業団体などで組織する社会保険未加入対策推進協議会のワーキンググループ(WG)が、18日に東京都内で開いた会合で申し合わせた。協議会を構成する業界75団体のうち、標準見積書を作るのは元請団体を除く55団体で、既に44団体が作成済み。会合では、それぞれの標準見積書で法定福利費の算定根拠を明確にする必要性などが指摘され、今後各団体が内容を修正することも確認した。
 
 
 今回の申し合わせを受けて国交省は、各団体に対して標準見積書の内容を精査するよう依頼。一斉始動に向け、民間企業や自治体などに対しても、工事発注時の見積もり、入札、契約に当たって法定福利費を適正に考慮することを要請する。法定福利費の内訳を明示する標準見積書を作成済みの44団体のうち、日本トンネル専門工事業協会が1月から、全国鉄筋工事業協会、日本機械土工協会、全国基礎工業協同組合連合会の3団体が4月からそれぞれ他団体に先行して運用を始めている。未作成の11団体も現在作業を進めているという。
 
 
 WGでは、各団体が作成した標準見積書に対する元請業者側の意見などを踏まえ、明示する内訳数字に対する説明責任を果たせるよう、▽算定に当たり用いる保険料率の統一▽計算手順の明確化▽歩掛かり根拠の明確化▽法定福利費の基本的な算出方法(労務費×保険料率)▽見積金額を調整する際の法定福利費内訳明示額の取り扱い▽法定福利費内訳明示の消費税の取り扱い▽適用除外者の取り扱い-といった項目を精査の際に考慮することを確認した。
 
 
 これらの申し合わせ事項に加え、国交省は今後、支払われた法定福利費が技能労働者の社会保険加入に実際に結びついているかどうかを把握できるよう、納付確認の透明化の仕組みを導入することを検討する。9月をめどに一斉に始める標準見積書の提出に向け、国交省が団体ごとの周知・PRの状況を把握し、関係者間で情報を共有する。

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