2013/04/30 全建/公共事業の適切執行を決議/技能者の適正賃金確保、ダンピング排除徹底も

【建設工業新聞 4月 30日 記事掲載】

 全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は26日の理事会で、「公共事業の適切な執行に関する緊急決議」を行い、各都道府県建設業協会と会員企業に対応を要請した。技能労働者の処遇改善を図るため適正水準の賃金確保に努め、下請企業に対しても適正水準の賃金を労働者に支払うよう要請。必要な経費を適切に見込んだ価格で工事の請負契約を結ぶよう努め、民間発注工事も含めてダンピング受注を厳に慎むことも盛り込んだ。理事会後に記者会見した淺沼会長は、決議について「建設産業全体の再生のうねりにしないといけない。官民挙げて進めたい」と語った。
 
 
 技能労働者の減少に歯止めをかけるためには適正な賃金水準の確保が不可欠。業界の人手不足が深刻化する中、国土交通省は13年度の公共工事の積算に使う設計労務単価を大幅に引き上げるとともに、全建などの業界団体に対応を求めていた。全建の決議では、労働者の社会保険加入を促進するため、企業自らの保険加入と併せて、保険加入に必要な法定福利費を含んだ下請契約を結ぶことも要請。東日本大震災からの早期復興や強靱(きょうじん)な国土の実現へ向け、迅速かつ円滑な公共事業の施工確保に全力を挙げることも盛り込んだ。
 
 
 淺沼会長は「労務単価のデフレスパイラルの改善へ国交省が思い切った対策を講じてくれた。もしうまくいかなければ、後ずさりすることになる。(各建協や会員企業は)苦しい中でも応えていかなければならないという意識を持ってほしい」と強調した。
 
 
 技能労働者の適正賃金確保では、日本建設業連合会(日建連)も25日に対策を決定している。将来にわたって建設産業の担い手を確保・育成していくために、法令を順守しながら適正価格での受注を徹底し、賃金をはじめ労働者の処遇改善を進める方向で業界全体が大きく動き始めた。

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