2013/06/06 「指名競争回帰」の動き/予算円滑執行狙い、低入札基準引き上げも/全建調査

【建設工業新聞 6月 6日 記事掲載】

 全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は、各都道府県協会を通じて実施した地方自治体の入札契約制度に関する調査結果をまとめた。12年度補正予算の執行に伴う対応で指名競争入札を導入する自治体が増加。補正予算の全工事に指名競争を適用する自治体もあるなど「指名競争回帰」ともいえる動きが起きていることが分かった。ダンピング対策として、低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を引き上げる動きが活発化していることも明らかになった。
 
 
 調査したのは、12年度補正予算執行に伴う対応(5月10日時点)と、低入札価格調査基準価格・最低制限価格の状況(5月1日時点)。全都道府県・政令市が対象で、低入札価格調査基準価格などは県庁所在市についても調べた。調査後の5月16日に調査基準価格の中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルが引き上げられたため、調査基準価格などについては引き上げ前の実態となっている。
 
 
 12年度補正予算執行への対応では14県と4政令市で指名競争入札を拡大させていた。中でも、岐阜県と千葉市は、補正予算の全工事に指名競争を適用。熊本県は13年度当初予算分も含め13年度上半期の全工事で指名競争入札を拡大するなど、事業執行を円滑化するために指名競争入札を活用しようという動きが目立つ。
 
 
 ダンピング対策として、栃木、新潟、福井、熊本の4県が、低入札価格調査の基準価格などの引き上げを実施。宮城県は、16年3月31日までの時限措置として、予定価格1億円未満の工事について、低入札価格調査制度を最低制限価格に変更した。低入札価格調査基準価格については、13道府県と11市が11年4月中央公契連モデルより高く設定していた。最低制限価格については、14道県と19市が11年4月に決められた中央公契連モデルよりも高い水準に設定。前回調査(12年10月時点)と比べると、新たに宮城、福井、熊本の3県と金沢と松江の2市が高水準グループに加わった。一方、最低制限価格制度の未実施の自治体が残るなど対応の差も目立っている。労務・資機材不足への対応では、全都道府県・政令市が、大幅に引き上げられた13年度公共工事設計労務単価に準拠。17県と8政令市はスライド条項の適切な運用にも取り組む方針という。

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