2013/06/11 最低制限価格-自治体で上限撤廃の動き/地域建設業の必要性考慮

【建設工業新聞 6月 11日 記事掲載】

 地方自治体の間で、低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を引き上げる動きが目立っている。中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)が基準価格の算定式モデルを見直したのをきっかけにした動きで、併せて最低制限価格の設定範囲の上限を撤廃する自治体も出てきた。
 
 
 最低制限価格などの算定式にある一般管理費の係数を30%から55%に引き上げると10日発表した和歌山県では、直接工事費の係数を独自に100%としているため、最低制限価格の上限が92・5%となり、従来の設定範囲(10分の7~10分の9)を超えることになった。従来の設定範囲は会計法の規定に沿った国土交通省の扱いに準じたもので、地方自治法上の規定ではない。このため、災害時の建設業の役割の重要性などを考慮し上限をなくすことにした。同様の上限撤廃は新潟県でも実施されている。
 
 
 こうした動きについて業界からは「地域建設業の存続に不可欠な適正価格での受注につながる対策であり、歓迎している」(全国建設業協会)との声が上がる。地域の安全・安心や雇用を支える建設業の役割が再認識され始めた中、地域建設業を維持するための一歩踏み込んだダンピング対策として期待が高まりそうだ。

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