2013/06/12 建専連/民間にも適正価格での発注要請/技能者賃金確保へ理解求める

【建設工業新聞 6月 12日 記事掲載】

 建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は11日、若者が希望を持って専門工事業に入職できる環境整備と健全な建設産業を目指した取り組みについて、経済団体や民間発注者で構成する主要団体に理解を求める文書を出した。今月4日の総会で技能労働者の賃金確保を決議したのを踏まえたもので、建専連が民間団体に要請文を出したのは初めて。安値受注で企業経営が圧迫され、人材確保・育成の余裕もなくなっている窮状を訴え、適正価格で工事が受発注される環境づくりを求めた。
 
 
 決議では、技能労働者の社会保険加入や適正賃金の支払いなどを行うためにも適正価格での受発注が必要だと強調。安値受注を繰り返し、指し値で下請工事を発注する元請企業とは契約しないとの強い姿勢で臨むことを団体の総意とした。建専連傘下の31団体も「順次決議を行っていくことになる」(才賀会長)という。
 
 
 建専連は総会後の6日、太田昭宏国土交通相に決議内容とその取り組みに対する理解と支援を求める文書を提出。加えて、既に団体として技能労働者の賃金確保について決議を行っている日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)の各元請団体に対しても順次、専門工事業界としての考えを伝えていくことにしている。
 
 
 11日に日刊建設工業新聞などの取材に応じた才賀会長は「下(専門工事業)からの突き上げで、ゼネコンが民間発注者に適正な賃金の支払いなどについて言いやすくなる面も出てくるだろう」と民間団体への要請文の意義を説明。「このままの状況で推移すれば、良いものが造れなくなることを繰り返し訴え、理解されることを期待していくしかない」と述べた。加えて、専門工事業界側も適正な賃金水準の確保に向けて自ら強い姿勢を示す必要があると指摘。「国交省が求める社会保険加入への取り組みを身銭を切ってでも実践していく覚悟が必要だ」として、13日から開かれる国交省の各地方整備局との意見交換会の場で、建専連側の姿勢を強く訴えていく考えも示した。

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