2013/06/12 低入札基準額-自治体8割が国のモデル以上/設定範囲の上限撤廃も/国交省調査

【建設工業新聞 6月 12日 記事掲載】

 国土交通省は、公共工事の入札で設定する低入札価格調査基準額の算定式について、都道府県を対象にした見直し状況の調査結果をまとめた。算定式に含まれる一般管理費の割合(係数)を、国の基準と同様に従来の30%から55%へと引き上げた団体と引き上げ予定とした団体が合わせて23団体とほぼ半数。もともと国の基準以上としていた団体などを加えると、ほぼ8割が国と同等以上の係数で基準額を算定することになる。
 
 
 国の基準となる中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の算定式モデルで一般管理費の係数が引き上げられ、国交省直轄工事などでは5月16日から新算定式を使って基準額が設定されている。同省はこれを受けた都道府県の算定式の見直し状況を5月31日時点で緊急調査した。調査結果によると、中央公契連モデルと同様に一般管理費の係数を従来の30%から55%に引き上げ・引き上げ予定とした計23団体のほかに、「独自の算定式で中央公契連モデル以上に引き上げ」との回答が4団体、さらに「既に中央公契連モデル以上のため引き上げない」との回答が10団体あった。
 
 
 中央公契連モデル以上への引き上げを回答した団体のうち福井県は、一般管理費の係数を4月1日から国と同じ55%に引き上げたが、直接工事費の係数をもともと100%(国は95%)としていたため、中央公契連モデル以上となった。6月1日公告分から新基準を適用した奈良県は、一般管理費の係数を55%にすると同時に現場管理費の係数を85%(国は80%)に引き上げた。愛媛県は、算定式は中央公契連モデルと同じだが、基準価格の設定範囲の上限を撤廃(従来は予定価格の10分の9)したことで事実上、国の基準を上回った。上限撤廃は和歌山、新潟両県でも行われている。熊本県では、国と同じ算定式で出した数値に補正係数を掛ける方式を検討。7月から適用することで国を上回る水準となるという。
 
 
 調査では、最低制限価格の見直し状況も質問。低入札価格調査基準額を中央公契連モデルと同様に引き上げたのが17団体、モデル以上に引き上げたのが6団体、既にモデル以上のため今回は引き上げないのが10団体、検討中が4団体だった。

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