2013/06/20 日建連/新労務単価対応で検討会議設置/重層下請の是正も議論

【建設工業新聞 6月 20日 記事掲載】

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、13年度の公共工事設計労務単価が大幅に引き上げられたことを踏まえた対応を議論するため、21日に「設計労務単価の改定に関する検討会議」を設置する。座長は大田弘土木運営会議議長が務める。労務単価を明示した形で1次下請企業と契約を結ぶ方法や、賃金支払い状況の調査方法などの実務を詰める。来月18日の次回理事会で結論を出し、施策を講じていく。
 
 
 日建連は、19日に開いた理事会後の記者会見で検討会議の設置を発表した。労務単価の問題は重層下請構造とも関連するため、重層化の是正といったテーマも含めて議論していく方針だ。中村会長は、技能労働者の適正な賃金水準確保を太田昭宏国土交通相から要請されたことに触れ、「自助努力のまさに正念場だ。われわれがいかに努力をしているかを見せることが一番大事だ」と述べた。日建連の「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」が、下請構造を原則3次以内まで減らすことを打ち出していることから、「(重層化への対応は)今度の検討会議でも話題になる」との認識も示した。
 
 
 日建連は、1次下請け企業との契約に労務単価を明示することを4月に決定していた。ただ、土木工事と建築工事で契約形態が大きく異なっていることなどから、より詳細な検討が必要と判断した。検討会議では、労務単価の具体的な明示方法や2次以下の下請企業への要請方法を検討。賃金支払い調査の対象工事や調査方法、標本数、調査時期を議論する。適正な賃金支払いの実施方法や、社会保険の加入促進との整合性なども検討課題に盛り込んだ。
 
 
 山内隆司建築本部長は、「会員各社がしっかりと襟を正す必要がある。当事者が自助努力をせず、他力本願というのは許されない」との認識を示し、同日の理事会で十分な対応を図るよう会員企業に要請したことを明らかにした。宮本洋一土木本部長は「(国交省の労務単価に関する)ホットラインにいろいろな電話が行くだろう。その時に、会員が不利にならないことだけは考えないといけない」と述べる一方、「(今後の対応は)なかなか大変で、そう簡単な話ではない」との見方も示した。

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