2013/06/26 国交省・日原洋文審議官/多様な入札で価格競争に歯止め/業界に新たな役割期待

【建設工業新聞 6月 26日 記事掲載】

 国土交通省の日原洋文建設流通政策審議官は、日刊建設工業新聞など建設専門紙のインタビューに応じ、省内幹部による「地域の建設産業および入札契約制度のあり方検討会議」を設置した背景や、21日の同会議で示した検討のたたき台などについての考え方を明らかにした。日原氏は、現在の入札制度下で課題となっている行き過ぎた価格競争が建設業界の疲弊を招いているとの認識を示し、「このままでは社会資本整備や災害時に対応できる担い手がいなくなる」と危機感を表明。その上で事業の特性に応じた多様な入札制度が必要となるとの考えをあらためて訴えた。
 
 
 これまでの入札制度改革について日原氏は「いかに不正をなくすかに主眼が置かれてきた」と指摘。価格以外の要素も加味した総合評価方式も取り入れられてきたが、結果として価格競争によるダンピング受注に歯止めが掛からず、それが下請や現場労働者へのしわ寄せにつながっているとの見方を示した。こうした課題を解決するには、これまでの画一的な入札契約を改め、工事の種類や内容に応じた多様な入札契約方式を導入することが必要だと強調。「(発注者にとって)頼りになる業者を選ぶ」という視点で各種のメニューを示し、適切な手法を選択できるような環境を整備したいとの考えを示した。
 
 
 特に、今後需要が高まるインフラの維持管理では、「財政が厳しい中で老朽化した構造物をどう治せばよいのかを含めて提案してもらうことも期待したい」と表明。従来の新設主体の市場の中では技術的にも未開拓な部分が大きい維持管理の分野で、建設業界に新たな役割が出てくる可能性があるとの認識も示した。
 

 発注者支援の観点から民間の技術力やノウハウを活用するPFIやCM方式などを例に、「建設業界にはこれまでと違う役割を求めていくことになるかもしれない」とも指摘。今回、国交省が取り組む多様な入札契約方式の検討を通じて、請負を主体としてきた建設業界が変革していく上でのメッセージとなることにも期待感を示した。

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