2013/07/04 地域建設業-職人賃金アップに前向き/群馬建協が会員調査/労務単価引き上げで

【建設工業新聞 7月 4日 記事掲載】

 国土交通省が13年度の公共工事設計労務単価を大幅に引き上げたのを受け、技能労働者の賃金を上げる動きが地方の建設業界で出始めた。群馬県建設業協会(青柳剛会長)は3日、会員に行った労務単価引き上げに関するアンケート結果を発表。この中で2割の会社が労務単価と連動する形で下請代金や作業員の単価を引き上げるほか、5割近い会社が単価引き上げを受けて賃金交渉を行う考えを示すなど計7割近くが前向きに対応する構えでいることが分かった。
 
 
 13年度の設計労務単価は、対象51職種の全国平均(単純平均)が前年度より15%(被災3県は21%)の大幅引き上げとなった。これを踏まえて国交省は、適切な価格での契約と技能労働者への適正水準の賃金支払い、社会保険への加入徹底などを業界側に求めている。
 
 
 群馬建協によるアンケートは、国交省のこうした要請を踏まえ、会員各社の対応状況や若者の入職促進の課題を整理することを目的として5月中旬から下旬にかけて行われた。調査結果によると、9割を超える会社が今回の設計労務単価引き上げを評価。その理由として、「予定価格の上昇で落札価格が上がる」「人手不足の職種で実勢単価に近づき、経営にプラスになる」「若者の入職が期待できる」といった声が多くの会員から寄せられた。さらに、労務単価の引き上げを受けて、従業員の月給や一時金を引き上げると回答した企業もあった。群馬建協は、今回の調査結果を踏まえ、若年層の業界への入職を促すためには、労務単価のさらなる引き上げも必要と訴えている。
 

 群馬建協の青柳会長は同日、群馬県庁で記者会見し、今回の調査結果について「皆が様子見の状況にある」との認識を示した。実際に賃金を引き上げた事例については、「上げなくてはならないとの思いはあるが、まだ少ない」と指摘。引き上げられた設計労務単価が実態に反映されるまでにはタイムラグが生じるとの見方も示し、「引き上げられた単価が一番下まで反映されるかどうかが課題。今後、調査しないといけない」と語った。

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