2013/07/05 国交省/技能者賃金の実態調査実施へ/労務単価反映を落札率・応札行動で把握

【建設工業新聞 7月 5日 記事掲載】

 国土交通省は、技能労働者の賃金水準のきめ細かな実態調査を7月から実施する。大幅に引き上げた13年度公共工事設計労務単価の反映状況を確認するため、全直轄工事を対象に落札率の変動や入札参加者の応札行動を調査。毎年行う下請取引等実態調査で賃金に関連する質問を追加するほか、建設業許可を更新した会社に出す通知に賃金関連のアンケート用紙を同封するなどの新たな取り組みも始める。実態調査の結果は9月ころにいったん取りまとめ、業界団体を通じて賃金確保を要請するなどの対策に役立てる。
 
 
 賃金水準のきめ細かな実態調査は、太田昭宏国交相が4月に業界団体トップに技能労働者の適切な賃金水準確保を要請した際に実施を約束していた。3カ月ごとに継続実施する方針だ。実態調査の一つとして行う全直轄工事を対象とした入札状況の監視では、入札経過調書などを丹念に調べ、落札率が労務単価の引き上げ前と比べてどう変化しているかを把握する。加えて、入札参加者の応札行動にも踏み込んで調査。引き上げられた労務単価を入札時に考慮しているかどうかや、案件やエリアによって反映状況に違いがあるかどうかなどを把握する。
 
 
 同様の監視を地方自治体の発注工事や民間工事で行うことも検討する。このほか、発注者から元請企業、下請企業、技能労働者へと流れていく賃金の状況を、既存の統計や企業への聞き取り調査、6月に開設した「新労務単価フォローアップ相談ダイヤル」などを通じて段階を踏んで調査していく。
 

 全国の建設業者から約1万8000社を対象に毎年実施している下請取引等実態調査(元下調査)では、賃金水準や賃金水準確保に関する問題点を質問項目に入れて状況を確認。同様の視点から、社会保険加入などに関連した質問項目も盛り込み、同省が展開する加入促進策の効果や問題点を把握できるようにする。5年ごとの建設業許可更新時に行うアンケートは、更新を申請した企業に送る通知書に調査票を同封。賃金水準などを記入して返送してもらう方法を想定している。更新が一巡する5年間で全許可業者に調査票が行き渡るようにする。

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