2013/09/04 国交省/優れた提案技術に一定期間の調達約束/開発意欲喚起、14年度に試行

【建設工業新聞 9月 4日 記事掲載】

国土交通省は、公共工事での活用を想定した技術開発に対する新たなインセンティブ付与方策を検討する。特定のテーマで技術を公募。最も優れた提案技術について一定期間の調達を約束する。工事発注時の仕様書に調達を約束した技術を明記する方法などを想定している。社会資本の老朽化対策などに役立つとみられる非実用化技術を掘り起こすのが狙い。本年度に有識者の意見を聞きながら具体策を固め、14年度に試行する。

新たに検討するインセンティブ付与方策では、発注者側が特定の目的を達成するために効果が高そうな技術をあらかじめ選定。一定の期間、公共工事の中で利用していく仕組みをつくることによって、民間企業などの技術開発意欲を喚起する。具体的な方法として、まず特定の技術テーマで開発者から提案を募集。最も優れた内容の提案に対しては、例えば2~3年にわたって同省直轄工事での確実な調達を約束し、工事発注時に受注者側に示す仕様書にそれを明記するなどの手法を考えている。開発した技術の一定期間の利用が約束されれば、民間企業側の開発意欲を高める効果が見込める一方、採用する発注者側にとっても、埋もれている優れた技術を活用しやすくなるメリットが期待できそうだ。

競争性や公平性が重視される公共調達では、優れた技術であっても必ずしもすべての案件に採用されるとは限らない。これが民間の技術開発意欲をそぐ一因ともいわれる。そうした中で新たな技術開発を直轄工事の現場で活用していく仕組みには、新技術情報提供システム(NETIS)の「フィールド提供型」などの枠組みがある。総合評価方式を採用した入札で有用な技術の活用提案を加点評価することもあるが、対象となるのは実用段階にある技術が主体となっている。

今回検討する新制度は、実用化前の技術の掘り起こしを目的とする点が大きな特徴となる。国交省は「発注者側でもう一段の後押しをすることで開発が進むような有用な技術を拾い上げていきたい」(官房技術調査課)としている。制度の検討とともに、どのような技術課題が公募に適しているか探っていくことになる。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る