2013/09/17 ダンピング対策-市区町村への浸透不十分/「公契連モデル」水準は半数足らず

【建設工業新聞 9月 17日 記事掲載】

全国の市区町村で公共工事のダンピング対策が十分に浸透していない現状が、12年度に国土交通省などが実施した調査で明らかになった。低入札価格調査の基準額や最低制限価格を導入している機関にそれらの算定式を聞いたところ、調査時点で最新の国の基準(11年度中央公共工事契約制度運用連絡協議会〈中央公契連〉モデル)を採用またはそれに準拠していたり、独自モデルが同等以上だったりする市区町村は5割に満たなかった。それらの価格を入札前に公表することで、発注者による事実上の「指し値」に近い行為が一定割合で行われていることも分かった。国交省が財務省、総務省と共同で毎年度実施する入札契約適正化法に基づく実施状況調査で判明した。

低入札調査の導入機関が採用している調査基準額の算定式は、11年度中央公契連モデル水準と同等以上の独自算定式が4・2%、モデル採用が29・9%、モデル準拠が6・9%で、これらを合わせても41%と半数に満たない。同様に最低制限価格についても、同等以上が6・3%、採用が21・4%、準拠が5・9%と合計33・6%にとどまった。前年度調査に比べるといずれの割合も増えているが、国の基準が市区町村の末端にまでは浸透していない現状が明らかになった。

行き過ぎた価格競争を助長する可能性を指摘される予定価格の事前公表を行っている市区町村は44・3%で、都道府県の36・2%、政令市の30・0%と比べても割合が高い。前年度よりも割合はわずかに減り、事後公表や、事前公表と事後公表の併用などへの移行が徐々に進んでいるとみられるが、事前公表を行っている市区町村は依然多い。

低入札調査の基準価格を事前公表していた市区町村の割合は9・6%、最低制限価格でも13・2%といずれも1割前後あった。国交省は、こうした価格を入札前に公表すれば、多くの入札参加者の応札額がその付近に張り付き、事実上の「指し値」となって行き過ぎた価格競争を招きかねないとみている。今回の調査結果を基に、同省は自治体への改善指導行っていく考えだ。

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