2013/10/24 国交省/技能者賃金事態調査中間まとめ/3割強の企業賃上げ、他産業上回る伸び

【建設工業新聞 10月 24日 2面記事掲載】

国土交通省は23日、技能労働者の賃金水準確保の現状を把握する目的で7月から行っているきめ細かな実態調査の中間取りまとめ結果を公表した。約1万社が回答した13年度下請取引等実態調査では、3分の1強の企業が4月以降、何らかの形で賃上げを実施していると回答。厚生労働省統計で見た給与の状況も、他産業と比較して建設業、特に鉄筋・型枠・とびといった専門工事業で伸びていることが判明した。  

  過去最大の上げ幅となった13年度公共工事設計労務単価によって増加した賃金原資が、元請企業から下請企業に渡り、さらに現場の技能労働者まで行き届いているかどうかを各種の指標を使って調べた。調査結果によると、公共発注者から元請企業への原資の移動については、入札時の応札率から状況を確認。同省直轄工事を対象に調べたところ、設計労務単価の上昇による予定価格の上昇に対して応札率が前年並みで推移しており、原資が確保されているとした。  

  これらを踏まえて実際に賃上げが実施されているかどうかを見た下請取引等実態調査では、予定を含めて4月以降に賃金を「引き上げた」と回答した企業は33・5%。3分の1強が前向きに賃上げに対応しており、今後さらなる拡大が期待されるとしている。厚労省の毎月勤労統計調査で給与の変化を見たところ、過去6カ月の給与の伸び率が全産業ではマイナス0・3%だったのに対し、建設業は1・6%増、職別工事業では1・9%と伸びているという実態も明らかになった。  

  賃金水準引き上げの理由については、「業績が好調で資金が確保できた」「労働者の確保のため」と回答する企業が多く、「業界の発展に必要」「設計労務単価の上昇」が続く。これらの結果から、賃金水準の確保に向けた取り組みが一定程度成果を上げつつあるとみている。将来の担い手確保を視野に入れた賃上げの取り組みの一方、足元の技能労働者数は横ばいから減少する傾向にある。そのため国交省は、従来の対策を加速させながら、先行き不透明感の払しょくなどにも取り組む必要があるとしている。  

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