2013/11/21 東鉄協/標準見積書の活用状況調査結果/利用半分、保険料負担容認は2%

【建設工業新聞 11月 21日 1面記事掲載】

現場で働く作業員の社会保険料を内訳明示した標準見積書の活用が思うように進んでいないことが、東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、館岡正一理事長)が会員企業を対象に行った標準見積書の活用状況調査で分かった。10月に会員各社が元請企業に提出した見積書のうち標準見積書が使われたのは全体の52%。提出された標準見積書を元請企業が受理したのは72%に上ったが、社会保険料の事業主負担分を認めてくれたのは2%にとどまった。元請・下請双方に戸惑いがあるようだ。

調査結果は19日に都内で開かれた定例会で報告された。館岡理事長は引き続き会員企業に活用を呼び掛けるとともに、元請企業にも社会保険料負担への理解を求めていく考えを示した。調査結果によると、会員企業(48社)が10月に元請企業に提出した見積書は合計273件。うち標準見積書で提出したのは143件で、標準見積書を使って元請企業に受理されたのは104件。社会保険料の事業主負担分を認めてもらえたのは2件だった。

調査に協力した会社からは「元請は受理してくれるが(社会保険料は)認めてくれない」「社会保険料を含めて見積書を提出すると『高い』と言われた」「社会保険料の事業主負担分よりも労務不足が先に問題としてあるため、単価は上げてもらった」「ゼネコンの指定見積書の場合、標準見積書と両方の提出を求められた」などの声もあった。

全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)の内山聖会長は、標準見積書の内容を会員企業に周知徹底し、「元請にきちんと説明できるように一層取り組んでいきたい」とし、「建設業許可の更新時に社会保険加入状況を聞かれ、加入していけなれば許可が取れない可能性も今後は出てくる。2次下請も含めて社会保険の加入をぜひお願いしたい」と会員企業に呼び掛けた。国土交通省が設けた社会保険未加入対策推進協議会は9月末、各専門工事業団体がそれぞれ作成した標準見積書の一斉活用を9月末に申し合わせている。

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