2013/11/22 太田昭宏国交相/公共事業費は持続・安定必要/平準化が人材確保に有効

【建設工業新聞 11月 22日 2面記事掲載】

太田昭宏国土交通相は、20日に開かれた政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に臨時議員として出席し、公共事業費を各年度の当初予算で持続的・安定的に確保していく必要性を訴えた。公共事業費を補正予算で急増させるより、当初予算で中長期的に平準化した規模で確保する方が、自治体や建設会社は事業の見通しを立てやすく、人材確保にも有効だと指摘した。PPP・PFIを積極的に導入し、インフラの老朽化対策や都市再生に民間資金を充てていく考えも示した。

経財諮問会議では民間議員から財政の安定化に向け公共事業費の削減が提案された。これに対し太田国交相は、「09年度からの3年間で公共事業費(当初予算)は約3分の1が削減され、建設業の設備投資や雇用は委縮した」と指摘。その結果、「若い人材が減り、重機を手放す企業も増えた。災害時の緊急対応や除雪などに支障を来す状況が発生している」と現状を報告した。その上で、「国民の安心と安全を守り、経済を支えるストックとして公共事業予算を(当初予算で)安定的・持続的に確保することが不可欠だ」と強調。国交省が重点課題に位置付ける南海トラフ地震や台風などの災害に備える防災・減災対策や、経済成長を生み出す大都市での開発、将来の人口減少や大都市への転出加速に備えた地方都市の機能集約を推進する考えを示した。

人件費の高騰などにより急増している入札不調で、公共事業費の積み残しが懸念されている問題については、「再入札時に工夫を講じてほぼ落札者が決まっているので(積み残し懸念は)全くの誤解だ」と反論。「今後も発注時に最新の労務単価を反映させて人件費の上昇に対応し、必要な公共事業を確実に執行していく」と述べた。経財諮問会議では民間議員からPPP・PFIの積極活用を求める提案も相次ぎ、太田国交相も「PPP・PFIで民間の資金や知恵を生かし、インフラの整備や運営を実施するのが効果的だ」と応じた。具体的には「老朽化が進む首都高速道路の更新と都市再生を一体的に推進する」とした。

安倍首相は「被災地の復興や強靱(きょうじん)な国造りを加速するため14年度予算でしっかり対応する必要がある」と指摘。その上で公共事業予算については「一層の重点化と効率化を図るべきだ」として、「戦略的な社会資本マネジメントの推進やPPP・PFIの大胆な活用、地方都市の機能集約を推進する必要がある」と述べた。

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