2013/11/26 国交省/担い手確保へ三位一体改正/公共工事品確法・入契法・建設業法

【建設工業新聞 11月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は25日、中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)産業分科会建設部会合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)を省内で開き、建設業の将来の担い手確保に向けた施策の全体像を提示した。公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を中心に公共工事入札契約適正化法(入契法)と建設業法を三位一体で改正するとし、ダンピング防止強化策として入札金額の内訳提出、施工体制台帳の作成・提出の拡大も打ち出した。全体像は、7、9月の基本問題小委での議論を踏まえ、現場の人手不足や行き過ぎた価格競争、発注者のマンパワー不足、受発注者の負担増大などに対応するための制度改正と施策展開を網羅的に示した。

自民党が議員立法で年明けの通常国会への提出を目指している公共工事品確法改正では、品質確保に加え、中長期的な担い手の確保にも配慮するとした。事業の性格や地域特性に応じて選択できる多様な入札契約方式の導入・活用や債務負担行為を活用した発注の平準化、発注者間での連携体制の強化も図る。これに政府提案で改正する入契法と建設業法をセットにし、業界の最大課題とされる担い手確保を着実に進められるようにする。

公共工事品確法に盛り込むダンピング防止を入札契約適正化の柱にも掲げ、その抑止効果が期待できる入札金額の内訳提出を見積もり能力のない業者の排除につなげる。提出された内訳をチェックする仕組みも導入し、談合防止にも役立てる。ダンピングまがいの安値で受注された工事の適正施工を確保する観点から、現在は特定建設業者が元請となる公共工事のうち、下請契約額が3000万円以上(建築一式は4500万円以上)で作成・提出義務のある施工体制台帳の範囲を拡大することも盛り込んだ。

台帳では、現場の下請業者の下で働く技能労働者の社会保険加入状況も確認できる。このため、公共工事での提出範囲拡大は「保険未加入対策に取り組む上での基礎的なデータを取得することにもつながる」(青木由行建設業課長)という。担い手育成や契約適正化に自主的に取り組む建設業者団体を認定する仕組みや、建設業許可行政庁と公共工事発注者が協力して暴力団排除の徹底を図ることも、三位一体の制度改正に盛り込む。次回会合は来年1月に開き、制度改正に向けた取りまとめを行う。

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