2013/11/28 全建/14年度予算確保へ意見書/公共事業削減で人材不足加速、強い危機感示す

【建設工業新聞 11月 28日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は27日、14年度当初予算での公共事業費の確保などを柱とした意見書をまとめた。公共事業費削減の流れを断ち切ることや、中長期ビジョンの策定を盛り込んでおり、自民党の脇雅史参院幹事長と佐藤信秋参院議員に手渡した。市場の実態に合わない予定価格の積算など諸課題の解決へ向け、官民の英知を結集することや、市場実態を踏まえた公共工事設計労務単価のさらなる引き上げも求めた。淺沼会長は、「当初予算を削減すれば、人材不足はますます加速する。取り返しがつかなくなってしまうことがないよう来年度の当初予算の確保を政府に要望したい」と表明した。

意見書は「社会資本整備の着実な推進について」と題し、本年度のブロック会議・地域懇談会での議論を踏まえた内容とした。同日の理事会で決定し、直後に開いた全国会長会議で報告された。淺沼会長は「不調・不落の増加を理由に公共投資予算を見直すべきではないかとの論調があるが、誤っている。われわれは社会に対し異を唱えていかなければならない」と強調。「ようやくインフレマインドへ転換しようとしている。その転換の下支えとして、消費の拡大などさまざまな要素で建設業界が担う部分は大きい。当初予算が削減されることになれば、景気の回復基調などの好循環がすべて台無しになる」と指摘し、「景気面はもちろん、財政収支面でもマイナス要素となり、さまざまな面で社会全体に大きな影響を及ぼす」と強い危機感を示した。

さらに、「最も大きな問題は、『中長期の国土保全ビジョン』を考える上での人材確保だ。担い手がいなくなってしまうことを危惧している。このような転換期に当初予算を削減すれば、われわれも腰を据えて若年層の入職を促すことができなくなる」と訴えた。

意見書には、東日本大震災の被災地の早期復興や強靱(きょうじん)な国土を実現するための予算枠の確保も掲げた。技能労働者の処遇改善に業界一体で対応することや、地域建設業経営強化融資制度などの継続・拡充も盛り込んだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る