2013/11/29 公共事業費-当初予算で確保を/業界団体が相次ぎ要望/将来へ向け「今が正念場」

【建設工業新聞 11月 29日 1面記事掲載】

年末に向けて編成作業が本格化する14年度当初予算で公共事業費を削減することがないよう求める声が、建設業界で日増しに強まっている。当初予算の削減が続いたことが、将来見通しを描けない状況を生み、現在の人材不足を招いたとの思いがあるためだ。技能労働者の処遇改善などに取り組む中で公共事業費が再び減少に向かうことになれば、せっかくの動きに水を差しかねない。業界関係者は「今が正念場」と力を込める。

「デフレから脱却し、持続的な経済成長を実現するには公共事業予算の安定的な確保が必要だ。本予算の中にしっかりと盛り込んでいただきたい」。日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長は、21日の定例記者会見で強調した。中村会長は今月5日に首相官邸で開かれた「経済の好循環実現に向けた政労使会議」に出席。14年度当初予算の重要性を麻生太郎副総理兼財務相らに強く訴えた。

全国建設業協会(全建)は27日、14年度当初予算の確保などを求める意見書をまとめ、同日夕には淺沼健一会長らが太田昭宏国土交通相をはじめ政府・与党幹部に直接要望した。淺沼会長は「当初予算は建設業界だけでなく社会全体に影響する。当初予算が削減されると景気回復基調などの好循環がすべて台無しになる」と危機感を隠さない。日本道路建設業協会(道建協)も28日に三好武夫会長が政府・与党への要望活動を行った。建設コンサルタンツ協会(建コン協)の大島一哉会長は20日の記者会見で、公共事業予算について「安全で快適な国民生活に求められる水準を勘案して判断すべきだ」と指摘した。「お金がないから公共事業費を減らすのは話が逆。国民のためにやるべきことが何かを考え、そこで優先順位を付けていくべきだ」(日建連の中村会長)。そんな意識は業界内で共通する。

自民党の脇雅史参院幹事長は21日、14年度予算での公共事業費確保と中長期計画の策定を麻生副総理兼財務相に申し入れた。脇氏は「マイナス予算などあり得ない。必要な整備を計画的にやっていくというメッセージを出さないといけない」と強調。20日に会食した安倍晋三首相にも進言したという。佐藤信秋参院議員は「補正は要らない。ゼロ国債を出し、その分を来年度予算に積むべきだ」とまで言い切る。建設業はもとより、今後の日本社会全体にも影響する14年度予算がどうなるか。ぎりぎりの攻防が続きそうだ。

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